KyojiOhnoのブログ

作曲家、編曲家、ピアニストそして製作会社の経営者ですが、ここでは音楽以外の社会一般のことの雑感について書きます。

西郷どん(せごどん)-薩摩のお家騒動、お由良騒動について

西郷どん(せごどん)今日から主役の鈴木 亮平が出てきます。幕末の大きなうねりが始まるのはまだ先でしょうが、まずは幕末の薩摩藩を語る上で避けて通れない事件が薩摩のお家騒動となった「お由良騒動」です。本日の放送でも既にその前夜といえる場面が描かれていました。

 

 お由羅騒動(おゆらそうどう)は、江戸時代末期(幕末)に薩摩藩鹿児島藩)で起こったお家騒動。別名は高崎崩れ、嘉永朋党事件。藩主・島津斉興の後継者として側室の子・島津久光を藩主にしようとする一派と嫡子・島津斉彬の藩主襲封を願う家臣の対立によって起こされたものです

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島津斉興 1791-1859

斉彬の父で当時の藩主の島津斉興(鹿賀丈志)は保守的な性格でドラマでも描かれているように先進的な斉彬を嫌ってました。また斉彬の祖父の重豪の影響が強い斉彬を嫌っていた斉興や家老・調所広郷などの重臣達の方が久光を後継者にと望んでいたということで、いわば薩摩藩の中の進歩派と保守派の対立という構図があります。斉彬の祖父の重豪も進歩派で「蘭癖大名」といわれ、斉彬の父の斉興の時代にようやく黒字化した薩摩藩の財政を斉彬がかつて祖父重豪がそうであったように、再び悪化させるのではと恐れていた面もあるようです

それに対し、斉彬の早期の家督相続を希望していた勢力もあったため、壮年の斉彬にいつまで経っても家督相続せず倹約ばかりを強いる斉興へ反発を感じる若手下級武士や、斉彬を高く評価する阿部正弘でした。斉彬は、将軍・徳川家斉の弟で御三卿の一橋家当主・一橋斉敦の娘・英姫rを正室としていた事もあり廃嫡が不可能なのですが、斉興はどうしても斉彬に家督を継がせたくなかったらしく藩主に居座っていたようです

 

そこで今日も少しその模様が描かれていましたが琉球における密貿易を老中・阿部正弘に密告するという、一歩間違えば藩改易に成りかねない紙一重の手段に打って出ます。その結果、竜雷太さん扮する家老・調所広郷は阿部から直接事情聴取を受けた直後の嘉永元年12月19日(1849年1月13日)、薩摩藩江戸芝藩邸で急死します。斉興が隠居に追い込まれないよう一人で罪をかぶり服毒自殺したといわれます。

斉彬の子女で生き残っていたのは女子3人だけで、久光の子女が無事に成長していたのとは全く対照的で。斉彬派の家臣はこれを「お由羅の方が斉彬とその子女を呪ったものである」と考え、お由羅の方及び久光を擁立する家臣を、これを理由として排除しようと計りました。しかしそのため斉彬派へ徹底した弾圧がおこなわれ、本国から江戸屋敷に至る間まで斉彬派の切腹、蟄居、遠島などが行われ、斉彬の襲封は絶望的であるかに見えました。

しかし斉彬派の藩士で脱藩、一部の斉彬派藩士福岡藩に逃げ込みました。福岡藩主・黒田長溥は斉彬の年下の大叔父であり、実家の騒動を見過ごせなかった長溥は斉興が脱藩士を引き渡すよう強要するもこれを拒絶、実弟八戸藩主・南部信順と計って老中・阿部に事態の収拾を訴えた。以前より斉彬を買っていた正弘は将軍・徳川家慶に斉興へ隠居を命ずるよう要請。さすがの斉興も将軍命令とあっては拒絶できず、遂に斉興は42年勤めた藩主を心ならずも隠居し、家督を斉彬に不本意ながらも譲ったというのが経緯です。

つまり正室の嫡子である斉彬と側室の庶長子である久光の表向きは家督争いのお家騒動ということになりますが、不思議なことに斉彬と久光自身は仲が悪いわけではなかったようです。

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島津斉彬1809-1858

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島津久光1817-1887

また騒動の首謀者とされるお由羅の方にはその後特に大きな処分はなく天寿を全うします。大勢の藩士の生命の代償があったので何かすっきりしないですけどね

来週からこれに向けての動きが活発化するでしょう。明治の原動力となった薩摩藩長州藩ですが、長州藩にも椋梨という保守派がいたように、薩摩藩にも保守派が牛耳っていた時代がありました。決して開国開明派だけの藩ではなかったということは押さえて置かねばなりません。

 

斉彬は1858年に急死しますが、毒殺説もあります。西郷は斉彬に抜擢され手と足となって働きますが、久光とはそりが合わず久光が毒殺に関与していると西郷が考えたのが久光と西郷の確執の原因という説もあります。実際このところは「西郷どん(せごどん)」でどのように描かれるでしょうか? 見てみたいと思います

来週からこれに向けての動きが活発化するでしょう。

明治維新150年ー西郷(せご)どんを見ながら明治維新とはなんだったのかをこれから1年考えます。

大河ドラマ「西郷(せご)どん」が始まりました。

NHKとしても明治維新150周年ということを睨んで幕末ものにしたのでしょう。

「西郷どん(せごどん)」は本日第一回なのでドラマの評価はまだおいておきますが幕末の英主島津斉彬渡辺謙、ナレーションに以前「翔ぶが如く」で西郷を演じた西田敏行等キャストは安心して見ることができますね。また子供時代ですが、西郷だけでなく後大久保利通になる正助を始め後の村田新八有馬新七、海江田正義といった志士たち、大山格之助といった幕末のおなじみの名前を出てきます。この中で海江田(今の時点では有村俊斎)だけが天寿を全うします。

いずれにせよこれから一年、おそらく酷いドラマにはならないと思いますが(林真理子歴史小説というのはちょっと結びつかないですけどね(汗)) お付き合いして行こうと思います。

さて、私は戦国大名の歴史ドラマも好きですが、やはり幕末ものが一番ワクワクします。これというのも幕末⇒明治という時代ほど日本史上あらゆることがドラステイックに変化した時代はなかったからです。

単に江戸幕府から薩長に権力が変わったというレベルの話ではなく、

政治、行政システム、軍事、教育、産業、ライフスタイルー庶民の暮らしーそれこそ衣、食、住のあらゆる部分までそれまでの江戸時代と大きく変わった時代です

明治維新は革命といわれますが、それは「日本という国、日本人の価値観がそのものが大きく変わった時代」であるがゆえに革命といっていいでしょう。

この「明治維新」に関してはさまざまな人が著書を書いていますが私の大学の教授であった故市井三郎成蹊大学名誉教授の「「明治維新」の哲学 (1967年) (講談社現代新書)」がお勧めです。私の歴史観に大きく影響を与えてくれました、

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 市井三郎(1922-1989)

ご興味のある方は是非ご一読をお勧めします。

勿論、細かい部分を見れば現代の日本人からみれば不完全な部分が多くあったことは事実です。しかし260年以上の封建体制から近代国家に生まれ変わったこの時代、このドラステイックな革命を現代の日本人が果たしてできるか、というとたぶん難しいでしょうね。

勿論日本の政治から、産業、庶民生活まであらゆることが変化したこの時代は一夜にしてできたわけではありません。

ここからは歴史の評価が分かれるでしょうが私は明治維新の過程を以下のように捉えています。あくまで私の捉え方であって、歴史学者の皆さんとは違うかもしれませんが

 

1853 :  ペリー来航  (封建社会の終わりの始まり⇒近代の始まり

1854:日米和親条約

1855:長崎海軍伝習所開設

1864,1866:長州征伐 ⇒第二次で幕府軍敗北

1867:大政奉還 王政復古の大号令(事実上のクーデター)  

   1100年続いた摂関制度、官位制度が終わる

1868:明治維新 首都を江戸から東京に改める

1869:廃藩置県 版籍奉還   (封建体制の終焉)

1873:西郷、板垣 下野

1874:自由民権運動

   (各地で乱勃発)

1877:西南戦争 (武士の時代の終わり⇒近代国家に脱皮

1889:明治憲法施行

1894:日英通商航海条約 (不平等条約改正)

1894-1895:日清戦争

1904-1905:日露戦争

1911:関税自主権を含む新日米通商航海条約調印 (条約改正の最終的決着を達成)

 

つまり 封建体制から近代に脱皮 ペリー来航から西南戦争終結までの24年

日本が関税自主権治外法権を含む諸外国と対等になるために

ペリー来航⇒ 条約改正 までに60年近く要したことになります。同時に多くの人的犠牲も払いました。戊辰戦争西南戦争等で日本は失わなくてもいい生命を多く亡くしたのです。

大変な時代だったことがわかりますね。

幕末から明治の終わりまで大きな変化と同時に大事業を成し遂げたことがわかります。現代の日本人が同じ状況におかれた場合、これを達成できたでしょうか?

たぶん難しいような気がします。

いささか長くなりましたが、これから一年「西郷どん(せごどん)」を見ながら明治維新とはなんだったのかについて考えることができればと思います

   

 

   

 

アメリカFCCネットの中立性撤廃によるインターネットの危機、これによってネット黎明期の「理想」は全て崩壊する

一応年始で比較的時間がある時、

こういう時にさまざまな思索をめぐらし今年の活動に備えるということをやっておかねばならない。

さてインターネットも普及してから20年、「ネット黎明期」なる言葉もウエブのあちこちに見ることができたが、昨今のネットの状況が「ネット黎明期」に飛び交った理想論

1.ネット時代に全ての人が賢くなり文書読解力も上がり、人類は賢くなる ⇒ 

2.  インターネットは全てのメデイアを凌駕し、圧倒的な影響力を持ち続ける⇒ 

3.  インターネットさえあればいずれリアルなメデイアは不要になる⇒ 

4.  インターネットでは全ての人が平等である ⇒ 今のところは事実.

5 インターネットで全ての人が自由である ⇒ 今のところは事実.

上記の1、については以下の記事を参照されたい

IT起業家が口に出せない「こんなはずじゃなかった」ネットの惨状

kyojiohno.hatenadiary.com

■インターネットが生んだ「無関心」の風潮ー私は今日本社会に蔓延する「無関心病」と闘う

kyojiohno.hatenadiary.com

2,3については別のブログサイトだが以下のサイトを参照されたい

■新春コラムーデジタルミュージックの時代で音楽が売れなくなったではない。コンテンツのビジネスモデルが根本から変質したのが理由(長文注意)

Kyojiの音楽ひとりごと: 新春コラムーデジタルミュージックの時代で音楽が売れなくなったではない。コンテンツのビジネスモデルが根本から変質したのが理由(長文注意)

 

インターネットはリアルに殆ど影響をもたらさない補完メデイア 音楽コンテンツビジネスとしての可能性もたいしたことなし

Kyojiの音楽ひとりごと: インターネットはリアルに殆ど影響をもたらさない補完メデイア 音楽コンテンツビジネスとしての可能性もたいしたことなし

いずれの記事でだいたい私の見解を述べているので詳細はここでは割愛させていただく

さて、問題は4、と5がトランプ政権が押し進める「ネットの中立性撤廃」によるこのままいけば今のところは事実.に変わる可能性が出てきたのだ

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ネット中立性廃止について記者会見するFCCのパイ委員長(14日、ワシントン)

トランプ政権は例の「オバマケア」だけでなくあらゆることでオバマ政権とは真逆の政策を推し進めているがこの「ネット中立性」が撤廃されるとどういうことになるか。これはネットユーザーに深刻な影響をもたらす。なぜならこれによって、通信会社が特定のコンテンツの配信速度を遅くしたり、早くしたりすることが可能になる。

たとえば、あるオンラインゲームの動きは遅いのに、別のゲームは速いとか、これまで見てきた映像のストリーミングサービスの利用料金が上がるという事態になる。わかりやすくいえば高速道路を通行させるのに、金持ちの車は優先して高速車線に導き、貧乏人の車は低速車線しか走れない。金持ちは、高い料金を払うことができるので優遇されるが、そんなカネのない車は混み合った車線で渋滞に巻き込まれる、そんな「ネット上」の格差が生じてしまうのだ。

客観的にみれば資金力で劣る新興ネット企業が大手との競争で不利になるほか、お金を払える人だけが高速回線を使えて低所得者が不利になっていく。当然ながらネットユーザーに不公平さが生じ、ネットの自由、平等はもはや完全な夢物語となる

トランプ政権はかねてからアマゾン、Facebooktwitter、ネットフリックスといった新興企業を目の敵にしている傾向があり、今回の「ネット中立性」撤廃もそれらの企業を狙い撃ちにした政策の可能性もある。

日本にも影響の可能性大? 

当然日本にも影響が出てくる可能性大だ。日本にもアマゾン、Facebookが普及しているし、何よりもまして徹底的にアメリカ追従の政策をとる安部政権、日本のネット企業(楽天とかソフトバンクとか)にもトランプが同等の政策をとれと内政干渉してきたらあっさり従う可能性がある。

勿論これはおそらく訴訟沙汰にまで発展すると思われるが、いずれにせよここまで発展してきたインターネットの発展は停滞を余儀なくされる可能性が高い

とにかくトランプを早く政権の座から引きずり落とすしかない。世界情勢もトランプによって非常に危険な状態になっているし

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ネットでのヘイトスピーチ、攻撃。twitterがようやく遅きに失した新しいルールの施行

今年はあまりこちらのブログの更新ができなかった。ブロガーというのはやはりヒマ人でないとできないが、今後もあまりできないかもしれない

その中でネットに関してこれだけはいいたかった

遅きに失した感はあるがようやくヘイトスピーチや他人を攻撃するアホをtwitterから追放できるようになった。

二言目にはネトウヨお決まりのボキャブラリー

在日、朝鮮、サヨク、バヨク、ぶさよ、反日

といって攻撃するしか能のないネトウヨはさぞや地団太踏んでいることだろう

■ヘイト行為や攻撃的な行為を減らすための新しいルールの施行

blog.twitter.com詳しくはtwitterは見ていないが、確かに以前よりはネトウヨの露骨なヘイトスピーチの入ったツイートは目立たなくなったような気がする

やはりネトウヨでもアカウント削除されるのは嫌らしい

ちなみに私がメインで使っているSNSFacebookでもヘイトスピーチ対策で規制強化を行っているらしい

■米フェイスブックヘイトスピーチ」投稿を大量削除

www.j-cast.com

Facebookでの差別発言やスパムの報告antiracismproject.wordpress.com

表現の自由に抵触する、などという詭弁を主張する輩がいる

だがヘイトスピーチの多くは意図的に相手を傷つけたり、人種、宗教、国籍等を元に差別を確信犯的に行う言動である。

そもそも政治や特定の行動に対する批判とヘイトや誹謗中傷の差を理解できない人間が多すぎる。批判とヘイトスピーチは全く違う。

とりわけネトウヨはそのような確信犯的な差別、攻撃、憎悪をウエブにまき散らすネットの諸悪の根源である。このような輩はSNSだけでなくネットから排除すべきだ。

インターネットにとって百害あって一利ない連中だからである。

貴乃花と相撲協会に関するマスコミの報道と世間の反応にみる日本人の「ムラ社会」の病巣

私はワイドショー的な話題は本来なら興味ない。特に毎日朝から晩まで貴ノ岩の暴行事件の報道をこれでもかとたれ流してワイドショー系には正直うんざりしていた。

何故被害者が悪者扱い?

だがそんな私も絶えずその報道には何か違和感を感じてきた。というのも本来なら被害者側であるはずの貴乃花貴ノ岩に対するバッシングがマスコミ、ならびに世間一般から流れてきて、被害者の方が完全に「悪者」扱いされていたからである、

 

そして今日ノンフィクションライターの窪田順生氏によるこの記事を読んで今回の一連の動きに関する概要が見えてきた。フリーになった人間の方がジャーナリズム精神を堅持しており、問題の本質をきちんとついていることがわかるからである。

 

貴乃花親方バッシングに見る相撲協会とマスコミの「狂気」

diamond.jp

この記事で今回の一連の騒動の問題の本質が見えてきた。

単なる酒の席の諍いではなく、もし貴ノ岩の証言が事実であればこれは「集団リンチ事件」である。それも横綱2人が関与している(うち一人は完全な加害者)という事態。

その問題の本質は上記の窪田氏の記事にも書いてあるように日本社会の「ムラ社会的」な体質のなせる業であるという点。これは読んでいて実によくわかる。物事の正しいか正しくないではなく、「ムラ」の秩序を乱す者は、組織の総力を挙げて潰すという論理だ。

所属する「ムラ」のためならすべてが正当化される異常社会

だから大横綱がからむ「集団リンチ」の真相究明ではなく、「組織への報告がない」ことを問題視する。少しくらいの不正、少しくらいの暴行などを行っても、それが「組織のため」という大義名分があれば、「ムラの功労者」として表彰される。これがまさに今相撲協会で起こっていることだ

それが今やジャーナリズム精神など欠片も持っていない、「ムラ社会の一員=サラリーマン」化したテレビ局、新聞記者などが相撲協会が流す「ムラ社会の正義」をそのまま垂れ流し、世界でも最低レベルのメデイアリテラシーしか持たない純粋でピュアな日本人はマスコミが流す「貴乃花けしからん」論を鵜呑みにし、そしてバッシングに便乗するという構造だ、

それが当然ながら日本社会に蔓延するパワハラ、いじめ(セクハラも当然含む)を誘発している。上記引用文章に書いてあることをそのまま引用させていただく

働き方改革を謳っても過労死やパワハラがなくならいのも、多様性が大事だと謳ってもセクハラや差別がなくならないのも、「組織に対する盲目的な忠誠」というものが、宗教のように我々の心に刷り込まれているからではないか。

「従順と奉公」が正義とされる社会では、「上」に逆らうものにはどんな手を使ってでもこの正義を分からせなくてはいけない。では、どう分からせるかというと、罵詈雑言を浴びせたり、白鵬のような説教をしたりして精神的に追いつめて従わせるか、力づくで従わせるしかない。これが日本社会に蔓延するパワハラや「いじめ」の正体だ。

 極めて不健康で気持ち悪い構造といわざるを得ない

日本の「ムラ社会体質」が日本を後進国にする

私は欧米社会で育ったのでその面普通の日本人と違うのかもしれない

欧米では何よりも「個」としての意識が優先するし「自分の意見を持つ」「自分の意見を云う」のが一人前の人間として見られる条件だ。だが日本ではそういう人間は「出しゃばり」「異分子」と煙たがられるのが普通だ。だから世間もマスコミも貴ノ花親方のようなタイプの人間は大っ嫌いなわけだ

江戸時代に実際に討ち入りを行った赤穂浪士は「忠臣蔵」などといまだに讃えられ、組織に対する滅私奉公こそが最も美しい生き方かのような受け止め方などはアメリカ育ちの私には違和感しか感じない。

だがそういう「ムラ社会」を絶対視する日本の風潮はグローバルな情報化社会ではどのように受け止められるのか。

■「日本で暮らせる人ってすごい」 海外移住者が語る理由に反響

sirabee.com■日本の社会がゆっくりと息苦しくなっていくメカニズム

www.huffingtonpost.jp

今ネットを通じて世界中の人とつながっている。日本社会だけの狭い「ムラ社会」で押し通せる時代はそれでよかったが、世界中がつながっているグローバル社会ではそうはいかない。

どうもこれは日本人のDNAレベルにまで浸みこんでいるようなので難しいかもしれないが、そろそろ「ムラ社会」を日本社会も卒業しないとグローバルなインターネット社会では大きく遅れをとってしまう、これはハードウエアやシステムの話でなく日本人の意識の問題だけに事態は深刻だ。このまま日本人が「ムラ社会」的論理に固執すればグローバルなネット社会では完全に後進国になってしまう。

 その一例を示そうと思う。

ちなみに日本のマスコミ人の殆どがそういう認識を持っていないだろうが日本のマスコミ人は既に外国からバカにされている。それは日本の低い報道ランキングを見てもわかる

日本は72位である

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https://www.reddit.com/r/MapPorn/comments/68f1vs/freedom_of_press_map_2017_by_reporters_without/?limit=500

Media freedom in Japan has been declining ever since Shinzo Abe became Prime Minister again in 2012. What with controversial dismissals and resignations, growing self-censorship within the leading media groups and a system of “kisha clubs” (reporters’ clubs) that discriminate against freelancers and foreign reporters, journalists have difficulty serving the public interest and fulfilling their role as democracy’s watchdogs. Many journalists, both local and foreign, are harassed by government officials, who do not hide their hostility towards the media. Members of nationalist groups on social media also intimidate and harass journalists who dare to question the government or tackle “controversial” subjects. Despite UN protests, the government continues to refuse any debate about a law protecting “Specially Designated Secrets,” under which whistleblowers, journalists, and bloggers face up to ten years in prison if convicted of publishing information obtained “illegally.”

 訳をすると以下の通り

安倍晋三が2012年に再度政権を取ってから報道の自由度は著しく衰退した。海外からも問題ありとされている「記者クラブ*1フリーランスジャーナリストや海外の報道関係者を締め出し、ジャーナリストは公共の利益となるはずの「民主主義の番犬」の役割を果たせなくなり、多くのジャーナリストは政府から迫害を受け、政府もメデイアに対する敵意を隠さなかった。ネトウヨを始めとする右翼もソーシャルメデイア等でジャーナリストへの攻撃に加わり「都合の悪い」質問をする記者を攻撃した。

国連が日本政府のこのような姿勢に抗議したにも関わらず「国家機密法」を制定し「政府が違法だ」と制定したジャーナリストやブロガーを最大10年の懲役刑に処す等の法律を制定した

 この問題と貴乃花の報道は一見無関係に見えるが本質は同じである。

要は「記者クラブ」という「ムラ社会」の論理をジャーナリストとしての社会的使命よりも優先させた結果、このように報道の自由度が下がっている点

救いがたいのはそのことに対してジャーナリストとして恥ずかしい、といった考えを露も持っていない報道関係者が大多数な点だ。

72位、もはや先進国のマスコミとは到底言えない順位である。そしてそのことに対して恥をしらないマスコミ関係者。ジャーナリストの社会的使命よりもマスコミのムラ社会」の犬であることを優先しているからだ

彼らを報道関係者と呼ぶのもおこがましいかもしれない

ウーマンラッシュアワーのMANZAIはお笑いの本来のあるべき姿、風刺というものを理解できない日本人こそ恥ずかしい

ネットでも話題沸騰のウーマンラッシュアワーの12月17日オンエアのTHE MANZAI 2017

(注:youtubeでは安部政権の圧力かどうかわからないがアップされては削除というイタチごっこが続いているので、保存した動画をここで貼り付けます)

 

私は最近のお笑いブームには興味ない、というかウンザリしているくらいなのだが久々に骨のある漫才コンビを見た。

特に最近の日本の政治状況や日本社会の風潮に対して悶悶とした日々を過ごしていたのだが、久々にこれを見てスカッとした。

見ていない人のために書き起しをこちらにも引用させていただく

というのも上記の動画、政治権力にとって極めて都合の悪いことを話しているためいつ削除されるかわからないためだ。

特にこのウーマンラッシュアワーの漫才だけなぜか、コメンテーターのコメントが番組でカットされていたことからもわかる。 これは放送局の政治的意図を感じざるを得ない

 日本のマスメディアほど権力に従順なメディアはないからだ

Q. 小池百合子が大切にしていることは?
A. 都民ファースト
Q. 都民ファーストなのにどうした?
A. 希望の党を作った
Q. 希望の党を作ったということは?
A. 国民ファーストを目指した
Q. でも希望の党が負けるとわかったら?
A. 代表を降りた
Q. だから結局あの人はただの?
A. 自分ファースト

Q. 現在沖縄が抱えている問題は?
A. 米軍基地の辺野古移設問題
Q. あとは?
A. 高江のヘリパッド問題
Q. それは沖縄だけの問題か?
A. 日本全体の問題
Q. 東京で行われるオリンピックは?
A. 日本全体が盛り上がる
Q. 沖縄の基地問題は?
A. 沖縄だけに押し付ける
Q. 楽しいことは?
A. 日本全体のことにして
Q. 面倒臭いことは?
A. 見て見ぬ振りをする
Q. 在日米軍に払っている金額は?
A. 9465億円
Q. そういう予算をなんていう?
A. 思いやり予算
Q. アメリカに思いやりを持つ前に?
A. 沖縄に思いやりを持て!

Q. 現在熊本の仮設住宅に住んでる人の数は?
A. 4万7000人
Q. 東北の仮設住宅に住んでる人の数は?
A. 8万2000人
Q. 2020年東京で何がある?
A. 東京オリンピック
Q. 何ができる?
A. 新国立競技場
Q. いくらかかる?
A. 1500億円
Q. 国民はオリンピックが見たいんじゃなくて?
A. 自分の家で安心してオリンピックが見たいだけ
Q. だから豪華な競技場を建てる前に?
A. 被災地に家を建てろ!

 Q. 現在アメリカと一番仲がいい国は?
A. 日本
Q. その仲がいい国は何をしてくれる?
A. たくさんミサイルを買ってくれる
Q. あとは?
A. たくさん戦闘機を買ってくれる
Q. あとは?
A. たくさん軍艦を買ってくれる
Q. それは仲がいい国ではなくて?
A. 都合のいい国

Q. 現在日本が抱えている問題は?
A. 被災地の復興問題
Q. あとは?
A. 原発問題
Q. あとは?
A. 沖縄の基地問題
Q. あとは?
A. 北朝鮮のミサイル問題
Q. でも結局ニュースになってるのは?
A. 議員の暴言
Q. あとは?
A. 議員の不倫
Q. あとは?
A. 芸能人の不倫
Q. それは本当に大事なニュースか?
A. いや表面的な問題
Q. でもなんでそれがニュースになる?
A. 視聴率が取れるから
Q. なぜ数字が取れる?
A. それを見たい人がたくさんいるから
Q. だから本当に危機を感じなければならないのは?

被災地の問題よりも
原発問題よりも
基地の問題よりも
北朝鮮問題よりも
国民の意識の低さだ!

 ここで一番最後、あえて赤文字にした台詞は日本人全員に考えて欲しい

自分が興味があること、自分が本当であった欲しい情報(たとえウソでも)ばかり見てそれ以外の情報には徹底的に無関心、沖縄も原発も被災地も「自分には関係ないこと」「面倒くさいこと」だと考え見て見ぬふりをする。それが今に安部政権にいかにやりたい放題させているか。

このウーマンラッシュアワーの漫才パフォーマンスはネットメデイアではなく地上波のテレビというマスメデイアの中でどうどうとフルに放送されたことに大きな意味があると考える。

今の日本の政治権力にとって極めて都合の悪いことが凝縮されていく

当然ながら政治権力に迎合する勢力、ネトウヨ(そもそもこいつら「風刺」という言葉すら意味を理解できんだろう)などの圧力が出てくると思うが、負けずに是非頑張ってほしいものである

ウーマンラッシュアワーの風刺漫才が大反響 賛否両論、批判が相次ぐ事態に
https://sirabee.com/2017/12/18/20161422240/

賛否両論? 風刺というのはそもそもそういうものである。そしてお笑いの原点は本来風刺にあるのだ。そこをどうも日本社会は忘れていると思う。

こういう政治権力を表立って批判したり、自分と意見が違うものを許容しない最近の日本は要するに「批判」と「誹謗中傷」の区別がつかない人間が多いためだ。

アメリカのように皮肉(sarcasm) を基調とするスタンダップコメデイが定着しているのはアメリカの学校では「デイベート」の時間をもうけ、自分と意見の違う人間を許容する教育ができているためだ。

この違いは大きい。そしてそれが情報化社会において日本が世界から大きく後れをとってしまう要因になってしまっている。

今回のウーマンラッシュアワーのパフォーマンスがそうした日本の風潮に少しでも風穴をあけていくことを期待する。

「女城主直虎」一年の感想

「女城主直虎」が日曜日に最終回

正直いって前半は殆ど見ていなかった。なぜなら「歴史大河」というよりはまるでホームドラマのノリで作られているようにみえたので、これは「花燃ゆ」の悪夢再来か、という印象があったためだ。

 

それが変わったのは小野政次の衝撃的な貼付けシーン

kyojiohno.hatenadiary.com

この衝撃的なシーンと合わせ、松平健扮する武田信玄等の戦国武将の動き(松平健の「死におった」サンバは笑えたが(^^;)) とかが出てきてようやく毎週見るようになった。

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この「嫌われ政次」は8月だったので実質半分も見ていないので「感想」とはいっても後半部分のみになる。大河ドラマというのは基本歴史ドラマという伝統があるので歴史人物の生き様、考え方を人間ドラマとして描くというのが醍醐味であると私は考えるので、奥様のホームドラマのようなものを見せられると正直ゲンナリする。

しかし後に井伊家を彦根30万石の大名にまでにする井伊万千代(直政)を中心に描いたのがやはりよかった。既に城も領地すらもなくなった井伊家が徳川に仕えで出世していく様を人間としても成長ながら描いていく、これこそが大河の王道だと私は考える

 演じた菅田将暉、なかなかよかった。この俳優将来が本当に楽しみだ。

阿部サダヲ演じる徳川家康はどこか頼りなく、覇気がない人物として描かれているものの天下人への道を歩んでいく様を描いている。でも確かに家康は何をするにも慎重な人物で、その点信長や秀吉とは違うのだが天下人になれたのは周囲の人間の後押しというのもあるのかもしれない。関ヶ原の戦いは家康が齢60ー還暦の時であり当時としては既に高齢である、その年齢に人生の勝負に出たわけでそれを考えると60でもまだ手遅れではない、という訳のわからない希望も出てくる。

来年は西郷隆盛の一生を描いた「せごどん」

www.nhk.or.jp

幕末というのはあまり視聴率がよくない(一部の人にはわかり辛いようだ)というジンクスがあるが、幕末⇒明治というのは日本史上でももっとも社会がドラステイックに変化した時代であり、その意味では期待も大きい

来年は明治維新150年にあたる年というのもあり、日本人にとって明治維新とはなんだったのか、ということを考えるきっかけにもなるのではないかと思う。

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