KyojiOhnoのブログ

作曲家、編曲家、ピアニストそして製作会社の経営者ですが、ここでは音楽以外の社会一般のことの雑感について書きます。

「嫌われ政次」の(高橋)一生ー小野政次とはどのような人物だったのか

本当に久々に大河ドラマの記事、正直「直虎」は何となく歴史ドラマではなくトレンデイドラマっぽい描き方だったのであまり熱心に見ていなかったのですが、昨日のはさすがに衝撃的な映像でした。

まずタイトルからしてすごい 「嫌われ政次の一生」

この「一生」は勿論演じた高橋一生とかけていることはいうまでもありません

それにしても数あるドラマでもこういう形での「愛」を表現したドラマはあったでしょうかね?

ちょっと記憶にありません。

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近藤氏の手にかかるのであれば自ら槍を政次に突き刺し、

『地獄へ落ちろ。卑怯ものと未来永劫語り継いでやる』

血反吐を吐きながら

『未来などあると思うか』

『地獄の底から、お前を見届け・・・(絶命』

 演じた高橋一生が「自分の役者人生でも忘れられない撮影になった」と述べていましたがこの映像は確かに納得します

その関係でSNSでも高橋一生演じる小野政次の話でもちきりでした。

 ちなみに史実でも実際小野政次は裏切り者として幼い嫡男とともに貼付け獄門に処されます

さて、この「裏切り者」とされる、小野政次(道好)は実際にはいかなる人物だったのか

ちょっと興味があったので調べてみました。

そもそも政次の父の小野政直は井伊家の家老でありながら今川家の意のままに動いた奸臣という風に記録されており、嫡男の政次もその流れから今川家よりの動きを取らざるを得なかったという状況もあり、文芸春秋「剣と紅 戦国の女領主・井伊直虎では小野政次は完全に悪役として描かれています

ですが最近はその「小野政次奸臣説」に疑問を呈する歴史家も多く、今回の「直虎」もその見解に沿った政次の描き方をしています。

歴史の専門家ではないので詳しくは書けませんが、wikipediaからの引用を書いておきます

『井伊家伝記』では井伊谷を横領した「悪役」として描かれる道好であるが、夏目琢史は著書で『井伊家伝記』が書かれた江戸時代、徳川氏が絶対的で批判のできない存在となっており、小野氏を悪役に仕立てることで徳川氏・井伊谷三人衆・井伊氏の大義名分を確保した可能性や、当時の井伊氏家臣団の間に深刻な内部対立があった影響である説を指摘した。また井伊家が「横領」のために結果として徳川とも今川とも対峙することなく身の安全を確保できたことは都合が良すぎ、浜名氏が家康の遠江侵攻に際し、側近の大矢氏に後を任せて逃亡したのと同じようなことが起きていたのではないかと推察した 

大石泰史は通説とされてきた道好の「専横」を疑問視しており、根拠として、『井伊家伝記』では永禄11年12月の武田信玄による駿河侵攻以後に横領が始まったとされるが、それを止めた井伊谷三人衆による徳川の引込はほぼ同時期でありそのような行動を取る時間的余裕がないこと、さらに家康入国のわずか1か月前である同年11月9日に直虎が井伊谷徳政の文書を発給し井伊家の当主代行者として政務を取り行っているため、この時点で道好が勝手なふるまいはできなかったはずだとしている

 何となく納得できる説ではあります。またドラマとして描く時に小野政次を単純な悪役として描いてしまうとドラマとしての深みがなくなるというのも事実でしたので、今回のような設定も十分にありだと考えます。

ただここまで劇的な表現になるとはさすがに私も予想していませんでした。特に最初の「直虎」のドラマの展開みますとね。一時はまた退屈なホームドラマを見せられるのかという風に感じ、正直かなり見る気が失せていましたから

さて今川家の圧政に苦しんだ井伊家ですが、さんざん井伊家をいじめてきた今川氏真武田信玄の侵攻で掛川城に逃げ込み、戦国大名として滅亡することになります。この関係で井伊家は完全に徳川の傘下に入ります。大勢力に媚びることでしか生き残れない小豪族の悲しいサガではあるんですが、一つだけ家康の傘下になったことが井伊家にとって結果的に幸運になります。

何故なら徳川、前身の松平氏はちょうど今の井伊家のように今川や織田に翻弄されながら生きながらえ一時は領地すら持たない身でした。小豪族の辛さを肌身で感じてきた家康だからこそ井伊家は徳川から圧政をうけずに生きながらえたのかもしれません。

長い間井伊家には苦しい日々が続きましたが、嫡男の虎松ー後の井伊直政になってから井伊家は飛躍的に発展します。直政は死にもの狂いで働き後に徳川四天王と称される存在になります。彦根藩30万石の基礎を作ります

ちなみに戦国時代でも最悪といわれる暗愚な今川氏真は要領がいいのか、討死せずに天寿を全うします。この件に関しましてはいずれ書こうと思います

 

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