ネットやSNSの情報は安易にシェアや拡散しないように
昨年の東日本大震災とそれに伴った福島原発の事故(明らかに人災)でもマスコミもそしてネットの中でもかなりのデマが流布され、一体どれが正しい情報なのか判断するのが難しい場面があった。あまりにも不確かな情報ばかりで一体どれが正しい情報なのかわからない時もあった。
そうした経験をしたにも関らず、先日もある話を安易に拡散してしまう事態がfacebookにて発生した。
【人種差別・意訳 ENGLISH/JAPANESE】実際にあった話
50代とおぼしき妙齢の白人女性が機内で席につくと
彼女は自分の隣が黒人男性であるという事に気がついた周囲にもわかる程に激怒した彼女はアテンダントを呼んだ
アテンダントが「どうなさいましたか?」と訊くと
「分からないの?」とその白人女性は言った
「隣が黒人なのよ。彼の隣になんか座ってられないわ。席を替えて頂戴」「お客様。落ち着いていただけますか」とアテンダント
「当便はあいにく満席でございますが
今一度、空席があるかどうか、私調べて参ります」そう言って去ったアテンダントは、数分後に戻って来てこう言った
「お客様、先ほど申し上げましたように、
こちらのエコノミークラスは満席でございました。
ただ、機長に確認したところ
ファーストクラスには空席があるとのことでございます」そして、女性客が何か言おうとする前に、アテンダントは次のように続けた
「お察しとは存じますが、
当社ではエコノミークラスからファーストクラスに席を替えるという事は
通常行っておりません
しかしながら、或るお客様が
不愉快なお客様の隣に座って道中を過ごさざるをえない、という事は
当社にとって恥ずべき事となると判断いたしますので
当然事情は変わって参ります」そして黒人男性に向かってアテンダントはこう言った
「ということで、お客様、もしおさしつかえなければ
お手荷物をまとめていただけませんでしょうか?
ファーストクラスのお席へご案内します」近くの乗客が、歓声をあげるのを
その白人女性は呆然と眺めるだけであった
スタンディングオベーションを送る者もいた【人種差別に反対の人はシェアしよう】
この話を最初に聞いた時は今時こんなロコツな人種差別主義者がいるのか? という疑問が確かにわいた。人種差別は確かに存在するが実は人種差別主義者でも多くは自分が"Racist(人種差別主義者)"といわれるのを嫌う。やはりそういう意識が自分にあっても後ろめたい気分はあるらしい。しかしこの女性が南アフリカ(この話の舞台はヨハネスブルグらしい)ならそういうこともあるかもしれないと思ってしまう。そうした中このキャビンアテンダントの対応が痛快だったために私もついついシェアをしてしまった。
しかしこの話はネットの中でかなり前からある有名なブラックジョークだそうだ。
http://yellow.ribbon.to/~joke/discrimination.html
要するに作り話だったわけだが問題はこの作り話があたかも実際に起きたことであるかのように伝わっている点であろう。これに関する受け止め方として
「感情を刺激するネガティブな内容の情報が「拡散」という名の下に広がっていく姿、、これこそが「風評被害」という被害者はいるけど「加害者がはっきりとしない被害の広がる姿そのものです。
原発事故後、福島県産というだけで、いろんな物が売れなくなっている。
これからどんどん被害者は増えて行くでしょう。
という受け止め方と
「嘘であろうが真実であろうが私は感動しましたぁ!素晴らしい話だ」
と両方ある。
私はどちらかというと後者で受け止めた。つまりこの話が最初から実際に起きたかどうか疑問に思っていたが、ストーリー性としてはなかなかのものだ。と思っていたからである。だが前者の方のように「人種差別」という感情をネガテイブに刺激するストーリー自体を不快に思う人の理屈もわからないではない。
但し前者の意見で少し違うな、と思うのは
1.この人種差別をした白人女性の個人を特定するような情報は一切提示されていない。従ってこれは特定の個人を攻撃したり「風評」を流布したことには当たらない。
2.前者の意見で拡散した人を「加害者」と断定しているが。それではこの件で誰がどのように「実害」を蒙ったのだろうか? この白人女性を「被害者」というのであればこの「風評」を流布されたことによってこの白人女性個人が著しい損害を蒙った事実を提示、証明しなければならないが、そのような事実はどこにも提示されていない。従って福島のように実際に実害を蒙った件といっしょにするのは無理がある。
3.人種差別の話は確かに「感情をネガテイブに刺激する」話だが、世界じゅうに人種差別はいまだに存在しているし、日本の2ちゃんでも韓国人を始めとする外国人に対する恥知らずな差別表現があふれている。それにこのストーリーをきちんと読めばわかるが例え真実だろうが、作り話であろうがそうした人種差別的な話を戒めていると内容であることは明らかであり、「感情をネガテイブに刺激する」から不快だというのは少々過剰反応ともいえるのではないか?
ただ、この件で私に反省すべき点があるとすれば確かに人の情報を安易に拡散することは危険である、という点だろう。私の場合facebookはmixi以上に繋がりの深い、旧知の人間だけに限定しているので、ついつい友人の情報に対して迎合的な態度を取るクセがある。今回の場合はそうした行動を安易に行なわないようにするように心がけるべきだ、という教訓にはなるだろう。
ある情報が流れたらその信憑性を可能な限り確かめるクセをつけることは重要だろう。そのためには安易に情報をシェアしないほうがいい。