福島人への風評被害にみる震災支援の偽善
実はこの件に関しては私は非常に腹が立っている
■福島ナンバー拒否、教室で陰口…風評被害に苦悩
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20110421-OYT1T00520.htm
被災者に支援を、義援金をなどと呼びかける一方で以下のようなことが平気で行なわれている。
・「福島から来た」というだけで躊躇なく「放射能測定させろ」などと要求する自治体の職員、
・「福島県から来たことを隠しますか」。福島県南相馬市の男子児童は千葉県内の小学校への転入手続きで、教師からこう聞かれた。母親は意味がよく分からずに「隠さなくていい」と答えた。男児の席は教卓の前で左右は空席になっていた。
・福島県いわき市の運送会社は、「放射能の問題があるので、いわきナンバーで来ないでほしい」という取引先の依頼を断れず、東京都や埼玉県でトラックを借り、荷物を積み替えている。社長(61)は「取引先から『いわき』ナンバーで来るなと言われたら従わざるを得ない。何とも理不尽だ」
・福島県田村市に工場を持つ埼玉県の会社は、福島ナンバーの車に乗った社員が首都圏のガソリンスタンドなどで利用を拒否され、埼玉県内ナンバーを使うよう指示した。
偏見というのは無知から生まれる。
連日報道される放射能もれのニュースでパニックになっているのはわかるが、大半が放射性ヨウ素であり、放射性ヨウ素131の半減期(放射性物質が半分になる時間)は約8日、ヨウ素132は2−3時間、ヨウ素138は約八時間で半減期を迎える。
つまりいずれも一時的な汚染なので多少量が多くても蓄積はされないのであわてる必要はない。
また宇宙飛行士の山崎直子さんは
「宇宙でも被曝するかという質問を幾つか頂きました。宇宙船の中で一日1mSv程度であり、地上の約半年分に相当します。私も昨年のミッションで15mSv位被曝しました。原発避難区域からの方々が偏見なく暖かく迎えられることを切に願います。」
と書いている。つまり通常の放射能レベルより高い放射能が出ている、というだけで過剰反応している部分は確かにあるが、要はそれが人体の健康に影響を及ぼすかどうか、が重要なのだ。
要は「放射能=危険」という先入観があるために「通常より高い」と聞いただけでパニックになり、「風評被害」や「デマ」が発生してしまうのだ。大事なことは正しい知識を見につけることである。
それにしてもこういう偏見や嫌がらせを被災した方に対して行なう、被災者にまさに追い討ちをかけるような行動を取る人間の羞恥心というのは一体どこにあるのだろうか? こういうことをする自治体、住民が被災者支援、義援金といってもただの偽善にしかならない。
東日本大震災は天災だったかもしれないが、福島第一原発やその近隣住民に対する「風評被害」「偏見」という人災の方がひどいといわざるを得ない。