KyojiOhnoのブログ

作曲家、編曲家、ピアニストそして製作会社の経営者ですが、ここでは音楽以外の社会一般のことの雑感について書きます。

イチローのトレードの日本国内の反応について

イチロー、トレードでヤンキース移籍
http://hochi.yomiuri.co.jp/mlb/news/20120724-OHT1T00051.htm

朝っぱらからこのイチローのトレードについてテレビでも大騒ぎしているが、メジャーを子供のころから見ている人間としてこのことに触れさせていただく。

日本のプロ野球フリーエージェント性が導入されたもののまだ選手の移籍というのはそれほど多くはない。だがメジャーリーグではこういうことは日常茶飯事である。

日本では野球選手が球団に所属するのを「会社に就職」するというニュアンスで受け取る人がいまだに多いということが今回の騒ぎでわかる。一番多いのはイチローを出してしまうなんてマリナーズなんてひどいことするんだ」という反応。

しかしそれは違う

それを説明する前にまず次の大前提を説明する

1.アメリカでは日本人のようにもともと終身雇用制などというものがないし、日本のような「会社に奉公」なんていう概念すら存在しない。会社と労働者は1対1の対等なビジネス関係で結ばれる。同じようにメジャーリーグの選手も球団と対等なビジネス関係で結ばれている。メジャーリーグの選手の契約に弁護士の資格を持つ「代理人」が存在するのもその対等な関係を維持するためのものである。とにかく良くも悪くも徹底してドライなビジネス関係なのがメジャーリーグでもある。

2.シーズン途中のトレード期限(ノンウエーバートレードデッドライン)が7月31日に迫っている。この時期各球団はそれぞれの球団事情に合わせてチームを補強するか、来シーズンに向けての球団再建に向かうかの選択を迫られる。いわゆるバイヤー(有力選手を補強する)とセラー(有力選手を放出する)に分かれるのだ。 マリナーズはすでに最下位でポストシーズン出場の可能性がほぼ断たれているためセラーとなっているのだ

3.上記のことからメジャーの選手が同じ球団に所属するという例は極めて稀である。最近では今年引退を表明したアトランタブレーブスチッパージョーンズくらいだろう。だいたい3−4年したらチームのメンバーの6割以上が変わる。とにかく良くも悪くもそれがメジャーリーグなのである。

さてそれらを踏まえていうとイチローは今年が契約最終年、このような場合球団と代理人は水面下で必ずコンタクトをしてお互い再契約するかどうかの可能性を事前に探っている。そしてイチロー側にその意思がないことをあらかじめ確認したと思われる。ましてイチローの今年の成績は芳しくなく日本円にして年俸16億円の働きをしているとは残念ながら言えない。素人目でみてもイチローらしいバッテイングが今年は影を潜めている。そうした場合契約終了でフリーエージェントで何の見返りもなく移籍されるよりは「トレードの価値」があるうちにトレードしてしまおう、という動きは極めて自然な動きである。

そして今日それが起きた。マリナーズとしてはあくまでビジネス的関係からイチローを出したのだ。再契約の可能性がきわめて低いと踏んだことともうかつてのような活躍はしないのではないか、という考えからである

個人的には移籍先がヤンキースというのは予測できなかったが、 個人的にはアンチヤンキースなので...

いずれにせよこのトレードがこんなに大騒ぎになること自体、日本人はその国民性からして欧米のような「ビジネスライク」な考え方はなじめないことを図らずも証明しているような気がする。つまり新自由主義市場原理主義的な考えは日本にはなじめないということだろう。にも関わらず日本のエコノミストやマスコミの経済面の記者は新自由主義市場原理主義的な論調をやめようとしない。これは彼らが単なるKYなのか、フリードマン経済学のカルト宗教に洗脳されて他の考え方ができないのか、その点はわからない。もっともマスコミは最大のスポンサーである経団連からそういう論調をばらまけ、と言われているのかもしれないが..

話がそれてしまった。

とにかくこのトレード期限の今頃はこういう動きがよくある。これから1週間くらいに電撃的なトレードがまだまだ起きる可能性が高い。良くも悪くもそれがメジャーリーグなのである。