KyojiOhnoのブログ

作曲家、編曲家、ピアニストそして製作会社の経営者ですが、ここでは音楽以外の社会一般のことの雑感について書きます。

龍馬伝ー第五回までの感想

久々に大河ドラマの話です。

龍馬伝ー 今日で5回放送されましたが少なくとも今のところは歴史的背景もきちんとリサーチされた上で脚本が書かれているな、という印象がありますね。

上士と下士の関係はどこの藩も多かれ少なかれあったのですが土佐藩の場合、実際かなり深刻だったようでこれがのちほど武市半平太率いる「土佐勤皇党」へと発展します。明治政府は始めの内は薩長を中心とした下級武士による政権ですが、江戸時代の旧体制で虐げられてきた人間も多かった関係で中には旧武士階級に対する憎しみに近い感情を持っていた人間も少なくなかったようです。龍馬伝の語り役になっている岩崎弥太郎や長州の山縣有朋などは武士といっても農民同然だったので特にそういう感情が強かったようです。

また黒船の志士たちに与えたインパクトと当時の江戸幕府のあわてかた、そしてそのことにより世の中が大きく変わらざるを得なくなった様子はよく描けていたように思いますね。

今週は幕末四賢候の1人、山内容堂とその容堂に抜擢される吉田東洋が出ましたが来週はいよいよ吉田松陰が出ます。生瀬勝久が松蔭をやるそうですので楽しみですね。

まあこの前の某大河が本当に目を覆うばかりのムチャクチャな歴史考証だったので、今回はとりあえず今までの所はしっかりやっているようなのでまずは安心です。このままのペースでお願いしたいものです。

ただ余談ですが、ドラマでは龍馬の恋人が4人くらい現れますが、例の「お竜さん」はともかく他にあれだけ恋人がいた、という事実はたぶんないと思います。これは主役の福山雅治だからでしょうかね?実際の龍馬は写真を見ればわかりますが、決して「イケ面」とまでは行かない人間でした。(実は武市半平太の方がイケ面でした、そしておそらく龍馬伝でも出るでしょうが「篤姫」に出てきた小松帯刀は写真を見ればわかりますが本当にイケ面でした)

ちなみに司馬遼太郎「竜馬が行く」でこの点に触れていますが一介の素浪人の龍馬がなぜあれだけ大きく世の中を動かせる力を持ったのか、いまだに個人的には納得できない部分もあるのでそこがどう描かれるか楽しみです。

ところで私が好きな井沢元彦さんの「逆説の日本史」での最新記事に以下のようなものがありました。
幕末期の知識階級を「歴史オンチ」にした朱子学の大罪

この本は幕末の知識人、それこそ勝海舟吉田松陰といったレベルの知識人までが日本の歴史を驚くほど知らなかったことが記され、例えば徳川家康キリスト教は禁じたものの海外との貿易には熱心で寧ろ「開国主義者」だったことを殆どの知識人が知らなかったという事実。その原因を朱子学に挙げていて、もし当時の日本人が家康の「開国主義者」を知っていて「攘夷」という行為は無駄な行為だとあらかじめ知っていれば、明治が始まる以前にあれほどの犠牲者(この中には坂本龍馬も含みます)は出なかったのではないか、と書いてあります。

なかなか面白い文章です。今では朱子学なる学問をさすがに真面目にやる人はいないでしょうがそれが原因で江戸幕府の成立当時のことを誰も知らなかったとは驚きです。それにしても歴史の事実を知る、というのを昔から日本人はあまり得意じゃなかったんでしょうか? 今でも第二次大戦の日本軍のさまざまな行為の史実ー多くはきちんとした証拠まであるにも関わらずーを頑強に認めようとしない人たちがいますからね。日本人はもともと歴史が苦手な国民なんでしょうか?

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