KyojiOhnoのブログ

作曲家、編曲家、ピアニストそして製作会社の経営者ですが、ここでは音楽以外の社会一般のことの雑感について書きます。

2008年総括ー新自由主義の幻想の終焉

私は明日まだ仕事がありますが、事実上2008年はもう終わりになります。

ここ半年くらいの間、経済環境があまりにも急激に悪化しました。それを受けて来年の2009年はここ数年でももっとも厳しい見通しになることは、既にマスコミ等で喧しく伝えられているのはご存じのとおりです。2008年はひとことでいえば「新自由主義の幻想の終焉」ということになるでしょう。

もともとサブプライム問題を発端としたこの金融不安は、フリードマン経済学による市場原理主義がもたらしたものであることは疑いの余地がないのですが、それにしてもバブルというのははじけなかった試しが歴史をふりかえっても一度もないのに、人類はどうしてこうも同じ過ちを犯すんでしょうか? しかもはじけるバブルの規模が大きければ大きいほど、あとのダメージは大きいことは日本のバブルの時に既に経験しているはずです。今度のアメリカの金融不安は少なく見積もっても日本のバブルの数万倍(!!)の不良債権があるという話ですから、このダメージから復活するのは容易ではないはずです。日本は十年かかりましたがアメリカはおそらくそれ以上の時間が必要かもしれません。

 今自動車メーカーの非正規社員の大量解雇がメデイアをにぎわしていますが、そこで掲示板やSNSでの書き込みで非常に気になるのは非正規社員に対して「それは自己責任だ」などという文字が相も変わらず踊っている点です。もともとこの「自己責任」なる言葉も小泉政権時代から頻繁に使われた言葉ですが、私は小泉政権以降この言葉はあまりに安易に使われているように思います。

もともと小泉政権の使う「自己責任」なる言葉は弱者切捨てを正当化する言葉として使われている傾向が強く、社会での格差、不公平さを拡大する口実として使われているように思います。いわゆる非正規社員の中の多くは好きで「派遣」の身分になったわけではないと思います。そしてそもそもこの制度を半ば強行したのがほかならぬ財界と小泉政権であったわけで、そのため非正規社員になった人たちに対して非正規社員の解雇は「自己責任」だから仕方ないじゃないか、というのは少し私は違う気がします。

またそのように主張する人たちは、本当に「自己責任」とはどういう意味か理解した上で使っているとは思えないんですね。例えば今はたまたま非正規社員が解雇の対象になりましたが、今後の経済状況では今社員で「安泰」となっている人たちも同じ憂き目に合わない、と誰が断言できるでしょうか? 特に小泉新自由主義以降社会に蔓延したペテンのからくりで「社員を解雇」というのはいけないが「社員をリストラ」なら「経営者の手腕と評価する」というわけのわからない理屈がまかり通っていますので、今ネットなどで非正社員の人たちを嘲笑している人たちはよく考えれば「明日はわが身」のはずなのです。だかたあの人たちをネットで叩いている場合ではよく考えればないはずなんですね。実際自分が本当にそういう立場にたった段階で「これは自己責任だから自分がこうなったのは仕方がない」などとあなた本当に思うことができますか? こういう発言をする人たちってそういうことに対する想像力がなさ過ぎるように思いますね。

私のブログでは小泉、竹中が推進した「新自由主義の幻想」を批判してきましたし、[http://d.hatena.ne.jp/KyojiOhno/20080715:title=なぜ勝ち組でもない人が小泉新自由主義を熱烈に支持するのか]、についても述べました。このネットの発言の状況を見るとまだ「自己責任」などという言葉を安易に用いて、「新自由主義の幻想」というものにいまだに惑わされている人たちがまだ少なくないことを測らずも実証してしまったように思います。いわゆる「B層」はまだこの時点でも社会の過半数を占めている印象があります。

ちなみにアメリカのビッグ3の経営破たんなどは本来なら「自己責任」と同時に自業自得でもあるんですが、それを新自由主義の理念を押し通すならもう放っておくべき存在のはずですが、もし先日の一時しのぎの支援がなかったらもう今日の時点で2009年の大恐慌を上回る状況に社会がなっているのはほぼ間違いない事実です。某竹中氏はついこの間まで「何の対策も取るべきでない」などとテレビで発言し、先週は手のひらを返したようにその発言を撤回しました。論客として非常に無責任のそしりは免れないでしょう。だいたいあのような人物がなぜいまだにスター気取りでテレビに出ているのか、そのこと自体が不可解ですが...

ちなみに「いざなぎ景気を超えた」という「好景気」は単なる非正規社員の大量派遣による人件費を削減と、バブル後処理による債権の還流によって引き起こされた「数字上の好景気」と経済評論家の森永卓郎氏は述べています。そしてあの「好景気」は結局、一般庶民を少しも幸せにはしませんでした。

とにかく認めたくない人はまだ相当数いるようですが、

新自由主義による幻想、おとぎ話、甘い夢、 それらは全て2008年に終焉を迎えたということです。


そして残念ながらこの経済不況、まだ入り口に入ったばかりです。私見では2009年以内に非正規社員だけでなく正社員が「リストラ」の名目で間違いなく大量解雇されます。そうです。他人の状況を「自己責任」呼ばわりなどしている場合ではないのです。どのくらいの規模かはわかりませんがそういう事態は必ず起きます。

だから竹中や小泉政権から使われている「自己責任」という言葉を安易に使うのはやめたほうがいいと思います。

仮にそうなったときに他人から「そうなったのは自己責任だ」などといわれたらあなたはどんな気持ちになりますか?