計画停電と今後の電力供給の見通し
福島第一、相変わらずなかなか落ち着きませんね。三号機の循環器部分に亀裂が入っているのはほぼ確実で、心配な状況です。
計画停電も先日東扇島火力発電所(200万KW)が復旧して電源供給力が3700-3800万KWにまで回復したので、徐々に停電の規模が小さくなりそうです。新しいローテーションになってどのくらいの頻度で実施されるかこれから見てみたいところです。
現在東電は440万KWの発電能力をもつ鹿島火力発電所の復旧に全力を挙げ、四月中の復旧を目指しているようです。これが復旧すれば少なくとも4−5月の春先は計画停電をしないで済みそうです。
しかし心配なのは夏場、です東電によりますと7月末までに電力供給力を以下に増やす予定のようですが(上記の鹿島も含む)
http://www.tepco.co.jp/cc/press/11032506-j.html
(1)震災による停止からの復旧 【760万kW】
鹿島火力1〜6号機、常陸那珂火力1号機など
(2)長期計画停止火力の運転再開 【90万kW】
横須賀火力3,4号機 1・2号GT
(3)定期点検からの復帰 【370万kW】
品川火力1号系列第1軸、横浜火力7号系列第2軸など
(4)ガスタービン等の設置 【40万kW】
(5)その他 【▲260万kW】
既設火力の夏期出力減少分(大気温上昇による出力減)など
これら全てをあわせても1500万KWあまり、現在の3700-3800万KWとあわせても夏場のピーク需要(6000万KW)に700-800万KW足りません。そのため夏場にも「計画停電」を実施せざるを得ない。というのが政府と東電の発表です。
また上記の予定通りに必ずしも行くとは限りません。
今回の震災で常陸那珂と広野の両火力発電所は震災によって多大な被害を受け、復旧にはかなりの時間が必要とのことで実は7月末まで復旧できるか微妙な状況です。特に広野は例の福島第一原発の近くにありまだ復旧作業すら手がつけられない状況のようです。
尚、上記には柏崎の定期点検中の2−4号機、そして今回辛うじて無傷におわった福島第二の両原発は含まれておりません。こういう状況ですから、原発を動かすというのは世論的にも難しいでしょうね。
私は正直いいますと「原発容認派」になります(「賛成派」ではなく、「容認派」です。このあたりのニュアンスの違いをお察し下さい)というのも仕事柄、普通の人より電気をどうしても使ってしまうし、実際電気がないと仕事にならないことは今回の計画停電で嫌と言うほど実感したからです。
一応大学は工学部電気工学科だったので、「原子力工学入門」も大学の授業として履修しました。だから原発の危険なことも理解しています。ですから先日の某女性誌のように「原発で核爆弾のような爆発が起こる」とか基準値を超えるとはいえ、μシーベルト程度の放射能で「黒い雨が降る」とか「雨で被爆する」などといった情報はデマであることがすぐにわかります。またヨウ素138は半減期が8日程度なので、二週間もすれば跡形もなくなくなる、といった程度の知識は持っています。(セシウムは30年と長いですが、まだ今のところは危険基準値より遥かに低いので今のことろはあわてる必要はありません)
そんなところでかなりデマと「放射能=危険」という先入観がパニックを誘発しているのは事実ですが、これが環境に悪影響を与えるのは重々承知しております。
しかし結論からいって「喉元すぎたら暑さ忘れる」ではないですが、そう遠くないうちに柏崎の停止中の発電機と福島第二は動かさざるを得なくなるでしょう。私がこういわなくとも財界から圧力が政府に行くのはほぼ確実と思われます。
一方で私たち自身も生活のパターンを大きく変えざるを得ないでしょう。節電を習慣化し、また業務を週末やその他の時間に集中的に動かすといったことも考えざるを得ないと思います。私自身は作業を週末、祝日、そして深夜に集中させるような方向で検討中です。もしかしたら昼夜逆転もありうるかもしれません。
とにかく私たちはあまりにも「電気のある生活」に慣れすぎてしまいました。一度この便利な生活に慣れてしまうともう19世紀以前の生活に戻るのは殆ど不可能です。
電気のありがたみをかみ締めたいと思います。