KyojiOhnoのブログ

作曲家、編曲家、ピアニストそして製作会社の経営者ですが、ここでは音楽以外の社会一般のことの雑感について書きます。

西郷どんー南紀派と一橋派の対立ー徳川御三家、御三卿と将軍家

西郷どんー先々週から幕末の歴史上の人物が次々と登場しましたがいよいよ江戸幕府の幕末期の権力争いとなる井伊直弼らが紀州徳川慶福(後の将軍家茂)推挙する南紀派と島津斉彬や老中阿部正弘が押す一橋慶喜の一橋派との対立が始まります。

今回の大河ドラマは薩摩の立場から描かれますので、この後大老となる井伊直弼が悪役として描かれるのは致し方ないですが、島津斉彬や嫡男の虎寿丸の毒殺を図ったかのように描かれたのは、昨年まで井伊家を描いた「直虎」を思うとなんともはや、という気にもなりますww

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井伊直弼

いずれにせよ南紀派と一橋派とこれから井伊直弼大老となりあの悪名高い安政の大獄が始まり薩摩藩にも苦しい時期がやってくることになります。

さて、伊武雅刀さんが演じる水戸斉昭も幕末でのキーパーソンでありますがここで徳川将軍家と御三家(尾張紀伊、水戸)と意外に知られていない御三卿について簡単におさらいしておきましょう。

御三家は徳川家康の九男である徳川義直を祖とする尾張家(青)、十男である徳川頼宣を祖とする紀伊家(緑)、そして家康の末っ子となる十一男の徳川頼房を祖とする水戸家(ピンク)の3つのことをいい、江戸時代において徳川氏のうち徳川将軍家に次ぐ地位を持っていた3家のことをいいます。親藩(一門)のうちで最高位にあり、将軍家とともに徳川姓を名乗ることや三つ葉葵の家紋使用が許された家で、家康が宗家の後嗣が絶えた時に備え、家康が宗家存続のために遺したものであるとも言われます。

ちなみに今日津田寛治さん演じる松平春嶽(慶永)も登場しましたが、越前福井藩は家康の次男の結城秀康の流れを組む家で性は松平とはいえ御三家に次ぐ家格として扱われます。ご存じ幕末四賢候の一人で幕末のキーパーソンの一人になります。

実際五代将軍の綱吉には嫡子がなく、甥の家宣から幼少将軍だった家継の死去で徳川宗家の血縁は絶えます。

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 家康死後100年で御三家から将軍を迎えなければならない事態になり、御三家の家の格では尾張徳川家が一番高かったのですが、吉宗が家康の曾孫、尾張の宗春は玄孫という差から吉宗が将軍になります。結局御三家の中で家格が一番高いはずの尾張家から将軍が出ることはありませんでした。

8代将軍の吉宗は江戸幕府の中興の祖と仰がれ、世代間の交代で御三家と将軍家が疎遠になることも危惧されたので、新たに田安(紫)一橋(水色)そして清水(黄緑)のs三家で御三卿の家をもうけました。

この御三卿は御三家のように独立した領地をもっていたわけではなく、各家の当主に10万石が支給されてましたが、領地は日本各地に分散して存在しており、これらの領地の支配は独自の代官所によって行われたため独立した藩が置かれることはありませんでした。面白いことに御三卿の当主はその家の相続自体を必然の目的とはしないことも大きな特色で、庶子はもちろん、嫡子や当主ですら他家への養子に出されることもありました。

要するに御三卿は藩でも家でもなく御三家を含む徳川親藩が嫡子がいなくなった時の「嫡男のバックアップ」としての機能を果たしていたということができます。そのため家斉のように一橋家から将軍になるというケースも出てきており、一橋慶喜は水戸家から一橋家に養子にだされ、そして最後の将軍となるという運命をたどります

ここのところは結構わかり辛いと思いますが、紀州家の徳川慶福という御三家を押す井伊直弼と水戸家から御三卿の一橋に養子に出た慶喜慶喜本人は将軍になりたくなかったようですが)の権力争いに本人たちが望むと望まないにかかわらず巻き込まれることになります。

歴史のうねりが始まります。たぶん再来週くらいに安政の大獄が始まるかもしれません

 

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