トランプ不正選挙説やアメリカ議会乱入にみた日米ネットリテラシーの病巣とSNSのワナについて - でも決して他人事ではない点
トランプの大統領選「不正」の問題ーこの問題は本来アメリカ大統領選とは直接無関係な日本でも不正選挙説を唱えるトランプ支持者の主張に同調、鵜呑みにする等、ネットの情報に関するさまざまな問題を提示した。
インターネットが一般に普及して20年強、SNSが普及し始めて15年くらい
情報化社会、などといわれるようになって数十年、確かにネットでもリアルでも情報が氾濫している。
だが今回のトランプの一連の騒動、民主主義の国のトップとして決してやってはならない一線を超える状況を見るにつけ、私たちはいまだにこの溢れる情報に対して対処能力がうまくできていないのではないか、と思うのだ。
特に「トランプの不正選挙説」を信じている人たちを見ると情報に対してある傾向を見ることができる。このブログでも既に何回も書いたことだが..
1. 自分の好きな情報、自分がそうなってほしい情報しか興味を示さないし信じようとしない
2. マスコミが流さない情報を信じることが高いリテラシーという勘違いしていて、マスメデイアの情報より「もっともらしい」情報を流すサイトの情報を信じる
3. 自分の好きな情報、自分がそうなってほしい情報のみが正しいというマインドコントロールを受けている。
・SNSのワナ
SNSはある意味人間の情報源を偏執させる。それはほぼどのSNSにも装備されているのだが、情報の内容に対するアルゴリズムがある。それはユーザーの好む情報、好む志向、発想に沿った内容のSNSの発言、投稿が見えるようにできているのだ。しかもFacebookといったSNSだと「友達」も同じ趣味、思想、志向の揃ったものが集まりやすい。かくして自分の考え、趣味が同じ人がSNS周囲に集まることになり、そういう情報ばかりなので、それが「世の中の全て」という錯覚に陥ってしまう。
実はこれがSNSが仕掛けるワナ なのだ。
そして選挙や世の中のトレンド、経済状況その他のリアルな状況が自分のSNSの「周囲」の情報とは違う結果になると「これはおかしい」という風に思ってしまうのだ。
トランプ支持者の陰謀論サイトのQアノンを始め、右翼系サイト、トンデモ系サイトに傾倒する人たちが集まり、SNSでもそういう右翼系の人達が好む内容の情報しか目をしなくなると トランプが大統領選の不正選挙を主張すると「それが事実であるー何か陰謀があるに違いない」と思ってしまうのだ。それがどんなにトンデモ系、嘘であっても彼らはそれを信じ込んでしまう。
そうなるといくらそれがデマだ、とかファクトチェックした内容の投稿を見せても彼らはそれを読もうともしない。何をいっても聞く耳をもたない。
先日の議会乱入事件でも連邦議会に乱入したのはアンティファであってトランプ支持者じゃない、とかいまだに云い続けている人間がいるのもそういう背景である。陰謀論を信じ切っていて何を言っても聞く耳持たず、もう完全にマインドコントロールされている
こうなるとこちらもだんだん忠告するのも面倒くさくなってくる。
日本のネトウヨもその傾向がある。マスメディアの情報よりチャンネル桜の掲載されている情報を信じる。かくしてネットにはデマ、フェイクニュースであふれかえることになる。
あえていうが、私は日米双方のネトウヨに顕著なデマサイト、陰謀論サイトのみの情報しか信じない人は完全な情弱な人たちである。情弱のコワい所は自分が情弱である、ということに気づかないところにあるのだ。
これも何度もこのブログで書いているがマスメディアも忖度やバイアスがかかっているので100%鵜呑みにはできない。してはならない。しかしだからといってそれがQアノンやチャンネルさくらの情報を信じていいという理由にはならない。言ってみれば警察があてにならないからといって「もっともらしくいう」詐欺師の方を信じるようなものだ。賢い人間のすることではない。
今深刻なコロナの第三波のパンデミックが起きているがそれも一部のデマサイトを信じて「コロナは嘘」「コロナは単なる風邪」などというデマが拡散された結果である。
・ファクトチェックをする癖を
これに関する1つの対処法は、これだけどの情報が正しいかがわからない現実では真実かどうか判断に困る場合にファクトチェックするクセをつけておいた方がいいだろう。
全てが完全にあてになる、とはいわないが、いずれも政府やマスコミからは独立したノンプロフィット組織で寄付で運営がなりたっているサイトである。
ネットで拡散されているさまざまな件についてのチェックが行われている
(1) FactCheck Org
(2) ファクトチェックイニシアテイブ
(3) スノープス
(4) ポリファクト
どうも情報が増える、他情報社会というのは情報の質が落ちる社会なのではないかと思えてしまう。
残念ながら昨今の状況を見るとそう断じざるを得ないのだ