NHKは低視聴率の情報や無責任な外野の声を無視し質の高い大河ドラマ
このブログでも何回も書いていますが、今年の平清盛、私はここまではここ数年ないくらいの非常に質の高い歴史ドラマになっていると思う。しかし一方ではこのドラマの低視聴率が問題にされ、ネットだけでなく芸能誌その他で無責任な発言があちこちから出ている。
そして今日はこんな記事まで飛び出した。
■NHK低視聴率大河『平清盛』“主役切り”で出番激減の松山ケンイチとざわつく周囲(日刊サイゾー)
http://www.cyzo.com/2012/06/post_10836.htm
まあサイゾーの情報なのでどこまで本当か、というのもあるが
清盛のライバルで玉木宏演じる源義朝と、義朝の妻で田中麗奈演じる由良御前の夫婦描写、武井咲演じる悲劇のヒロイン・常盤御前のストーリーなどにスポットを当て、中心人物を複数にして“脱平家”の台本が練られ、松山が1話のうち5分ほどしか登場しないストーリーも検討されていると
もしこれが事実の報道だとすれば、だが
正気か?
といいたくなる。
何なら今から「平清盛」という題名をやめた方がいい、ということになる。
まあ私もNHKとの仕事をしているので感じるのだが、NHKというのは「国民の批判」というものに極端に弱い。
特に例の聴取料問題が出てきて以来、無責任な批判や本来一笑に伏すべき内容でも神経過敏なくらいに反応する。 スポンザーも何もつかないNHK(またつけてはいけない)だから視聴率が低かろうが気にする必要がないんだが、この聴取料問題が発覚して以来「国民をスポンサーと思え」という雰囲気で世間の動向を極端に気にするNHKの姿がある。
特に「大河ドラマ」や「朝の錬ドラ」「七時のニュース」(そして「紅白」もそうだけど)は「NHKのアイデンテイテイー」にからむということでNHK内でも低視聴率では済まされない、というのがあるらしい。そしてこの状況に民放や新聞、週刊誌もやっかみ半分で「民放では絶対取れない予算」でこの視聴率か? などと騒ぎ立てる。
確かに大河ドラマは国民から徴収した聴取料から予算が出ているけれど、別に「大河ドラマは国民全員が見るべきもの」などという考えがあるとしたらその考えの方が寧ろナンセンスだ。「民放では絶対取れない予算だから」なんてのは民放や他のマスコミのやっかみ半分の見解で、寧ろそういうコマーシャリズム(=商業主義)にとらわれずに質の高いドラマを作ることこそが社会的使命なのではないか?
その意味でははっきりいって「お江」や「天地人」などはいくら視聴率が良いといってもひどい内容のドラマを見せられるほうがよっぽど国民から徴収している聴取料の無駄使いだと思う。実際この2つのドラマが後の世で語られることはまずないだろう。特に「天地人」などは大河ドラマ史上最低の駄作といっても過言ではない。
どうも視聴率、視聴率と世間の方が騒ぎすぎる印象がある。これでせっかくここまで質の高いドラマができているのに、一部世間の無責任な言動に惑わされドラマが途中から台無しになってしまわないか?
その方がよっぽど問題だ。
「お江」や「天地人」はいずれも内容を見ると「歴史ドラマ」よりは「ホームドラマ」だが、一般の視聴者の中できちんとした「歴史ドラマ」より「ホームドラマ」志向が強くなっている傾向は間違いなくある。
要はNHKを初め民放がそういう視聴者を作ってしまった、というのがあるのではないだろうか。
実際問題として今の時代テレビのお茶の間のチャンネルの実権は圧倒的に女性上位で男性よりも主婦や子供に移っているという傾向がある。それが「ホームドラマ志向」に拍車をかけているのではないかと...
例えば私などは実際問題として毎週仕事場で平清盛を見ているのが現状だ(笑)
大河ドラマに限らず時代劇自体が減っているのもそうした背景があるのではないだろうか?
いずれにせよこれによって「平清盛」が「お江」や「天地人」のようになってしまう事態だけは勘弁して欲しい。ここまで良かったのに最後は失望させるようなできにはならないで欲しい。