坂の上の雲第二部終了
坂の上の雲の第二部「広瀬 死す」が終わりました。
ドラマとしての完成度、クオリテイは第一部の負けず劣らずよかったですね。広瀬少佐を演じた藤本隆宏もこれで人気が出るでしょう。
第三部は丸々日露戦争の部分になりますが、ここの部分がどう描かれるかですね。司馬遼太郎は「戦争讃美の小説と誤解される」との理由でこの「坂の上の雲」の映像化を頑なに拒否したわけですが、次の部分の描き方は気をつけないと本当に「戦争讃美の小説と誤解される」可能性があるので、最大限気をつけてもらいたいものです。
というのもただでさえ、日露戦争を描くというだけで「戦争讃美」と決め付けられる風潮が元々ありました。以前も「二百三高地」の映画で日露戦争を描くというだけで映画も見もしないで「戦争讃美の映画を作った」と反対運動が起きたりしましたし、今回戦死した広瀬少佐(戦死後に中佐に昇進)はこの後軍神として「神格化」されてしまい、必要以上に美化されてしまいました。ロシア人の多くからも好かれた広瀬武夫でしたが、あのように軍神として神格化されるのはおそらく本人にとって不本意だったと思います。そうしたイメージが日露戦争に対するネガテイブなイメージを植えつけた点は否定できません。
またこんな恐ろしい内容のまりつき歌が日露戦争のあとに流行ったようです。ほぼ全国の子供たちが歌ったようです。
ー♪
いちれつ談判破裂して 日露戦争 始まったさっさと逃げるは ロシアの兵
死んでも尽くすは 日本の兵
五万の兵を 引き連れて 六人のこして 皆殺し
七月八日の戦いで ハルピンまでも攻め入って
クロパトキンの首をとり 東郷大将 バン バンザイ ♪
こんな恐ろしい歌を子供たちに歌わせる大人も大人ですが、これを見ても当時の日本の世論がいかに好戦的であったことを示すものであり、その風潮をマスコミも煽りに煽った結果、だんだん世の中がおかしな方向に行き最後は太平洋戦争のような無謀な戦争に突入させたということができましょう。わらべ歌というのは使い方によっては子供を洗脳していく恐ろしいツールになってしまう例の一つということができます。
日露戦争の時代にはまだ武士道、騎士道は残っていたようで、当時の日本軍も戦いに勝っても相手の将校には最大限の儀礼をもって迎えました。これは欧米でも大変な賞賛を受けましたが、こののち「鬼畜英米」などという頭の中が北朝鮮状態に日本もなっていきます。
坂の上の雲は司馬遼太郎の遺族が毎回確認してOKを取った上でオンエアしているようですが、次の第三部は気をつけないと司馬遼太郎が懸念していたような受け止め方をされかねない部分だけに慎重にドラマを作って欲しいものです。
尚、唯一違和感を感じるのは第二部にエンデイングテーマに放送作家の小山薫堂さんによる作詞がついたんですが、(個人的に薫堂さんは好きですけど)ちょっとこれは違和感を感じますね。森麻季さんというソプラノ歌手だそうですが、やはりソプラノ歌手が日本語の歌詞で歌うとどうしても「劇団四季」調に聞こえてしまう。個人的にはサラブライトマンのボカリーズ調のままの方がよかった気がします。それか思い切ってポピュラー系の歌手に歌わせるか、ですね。Stand Aloneはジャズ系、シャンソン系の歌手が歌っても違和感はないと思いますが...