KyojiOhnoのブログ

作曲家、編曲家、ピアニストそして製作会社の経営者ですが、ここでは音楽以外の社会一般のことの雑感について書きます。

とうとうやっちゃいました小泉首相-靖国参拝

8.15 小泉首相 靖国参拝(読売新聞)

始めに断っておくが私は右の人間でも左の人間でもない。はっきりいってどちらの人間も嫌いだ。だが政治がわざわざ近隣諸国との関係を悪化させ、平和の願いを踏みにじるような行動には賛同しかねる。特に今日は平和の祈り、願いを行わなければならない日なのに...

この人はよほど日本とアジア諸国との関係を悪くさせたいらしい。これでアジア諸国、特に中国と韓国との関係は戦後最悪になるのは避けられないだろう。小泉首相は退陣を前にしても参拝なら影響を最小限にとどめられるといっているが現役の首相が参拝した事実に変わりはなく、このことによって日本が失うものは大きいと思う。既にビジネスではアジア関係が欧米の数字を上回っていることを考えると今後の日本の経済運営にも悪影響が懸念される。


それにしてもなぜこういうことが起きているのか

私なりに考えてみると

靖国の精神性の曖昧化

首相の靖国参拝を本当に望んでいるのは遺族会の一部の人間だけだと思うが、結局日本という国が戦後靖国を初め「戦前の遺産」の位置づけを曖昧にしてきた、「臭いものに蓋をする」行為をしてきたツケが今回の事態を呼んでいる。そもそも靖国神社は明治政府が国家の英霊を祭るということから始まり、少なくとも第二次大戦中までは「国の機関」そのものだった。

それが戦後になり単なる一宗教法人に落とされたが、制度が変わっても人の心は変わらず、その精神的部分の精算、けじめを行わないで肝心な部分を曖昧にしてきた。東京裁判の内容も含めて、だからこそA級戦犯に関する政府見解も大きく分かれる結果となった。日本人の得意な「臭いものに蓋をする」ことで曖昧なまま60年過ぎてしまったのだ

2.東京裁判と「A級戦犯」の意味を棚上げ

東京裁判を裁判として認めていない、という考え方は根強くある。確かに裁判自体正直いって公正だったかという問題はあるが、だからといってA級戦犯にされた人たちが本当に責任がないといえるのか、何かそこのところが非常に混同されて論じられているように思う。

いわゆるA級戦犯の人たちを見ると、東京裁判のやりかた云々は別として少なくとも国内だけで240万人以上、海外にもそれ以上の人命を損なわせた結果責任は問われるべき人たちではないのか? そこのところですら曖昧にしている。わざと曖昧にしてきたのだ。

A級戦犯の面々を詳しく述べる

1)死刑判決により絞首刑

板垣征四郎ー悪名高き「関東軍」の司令官(人体実験で有名な731部隊も含む)満州事変の実行者で中国や朝鮮半島で多くの殺戮を行った

東条英機ーいわずと知れた太平洋戦争を勃発させた張本人。最後の最後まで強硬な主戦論を発していた人物

武藤章ー対米強硬派フィリピン戦線で多くの捕虜の虐待を行った。

木村兵太郎ビルマ戦線司令官、東条失脚後の軍最高司令官。開戦の責任、戦地での責任と2重に戦争犯罪を追及されている

広田弘毅ー平民宰相ともてはやされたが、軍の暴走を止められなかった責任を問われた。しかしこの人物はA級戦犯の中で唯一戦争に反対していたといわれる

土肥原賢二ー軍のいわば「工作員満州国建国や中国内でさまざまな陰謀を行った。

松井石根ー上海戦線司令官、中国内でのさまざまな戦争に参加

南京大虐殺の首謀者といわれる

2)終身刑により服役中に獄中で死亡

梅津美治郎ノモンハン事件以降の関東軍総司令官、参謀総長 最後まで徹底抗戦を主張した

小磯国昭元朝鮮総督、東条後を受けて首相に就任。三月事件(1931〔昭和6〕年3月に発覚した、大日本帝国陸軍によるクーデター未遂事件)にも関係があったと云われる

平沼騏一郎近衛文麿の後継首相、はきわめて保守的かつ右翼国本主義的であり、ナチス・ドイツを範とした天皇ファシズムの構築を最大の目標にしていた。枢密院議長。終戦近く彼は和平派と協調するかと思えば降伏反対を唱え、天皇への上奏の折には明確な主張を見せないなどその立場は一貫していなかった。

白鳥敏夫 ー外務省顧問。、大政翼賛会総務を経て1942年に衆議院議員に当選。翼賛政治会理事や盟邦同士会会長などを務めた。

3)禁固20年により服役中に獄中で死亡

東郷茂徳 ー外交官。太平洋戦争開戦時及び終戦時の日本の外務大臣。戦後、開戦時の外相であったがために連合国側から戦争責任を問われた。

4)その他、判決前に病のため病院にて死亡

永野修身 ー元帥・海軍大将。1941年6月に軍令部総長に就任。山本五十六真珠湾攻撃作戦を許可し、太平洋戦争勃発のきっかけを作る。

松岡洋右 ー外交官、政治家。日本の国際連盟脱退、日独伊三国同盟の締結、日ソ中立条約の締結など第二次大戦前夜の日本外交の重要な局面に代表的な外交官ないしは外相として関与した。

これらの人々を見ると、一部は少し疑問のある人もいるがおおむね、第二次大戦の結果責任を問われてしかるべき人たちではないだろうか? 少なくとも戦争を回避することが可能だったにもかかわらずその努力を怠った責任が全くないとなぜいえるのだろうか?

ちなみに昨日News23A級戦犯が合祀されるいきさつをレポートしていたが、ーもしあの報道されている内容が真実に近いという前提で話すがーA級戦犯合祀は全く「密室」の中で行われていたことがわかる。軍官出身の厚生省役人グループがA級戦犯の合祀を靖国に打診したこと。そして次は靖国神社内での派閥争いの結果A級戦犯の合祀が決まったこと、等がレポートされていた。

これほど国際問題になる問題を一部の人間がそれも密室内で決めてしまっていたというのは、もしこのレポートが事実であるとするならば非常な驚きであり怒りすら覚える

まあこのNews23,右寄りの人には極めて評判の悪い番組ではあるし。別にテレビの報道をそのまま信用しているわけではないのでここら辺にとどめる。

小泉首相は来月に退陣するが、後継が確実な安部は小泉と同等かそれ以上のタカ派で知られる。来年も終戦記念日に参拝する可能性があるし、近隣諸国との関係改善の期待はうすい。

この国が悪い方向、平和で安定した生活が損なわれる方向に動いて欲しくないと祈るばかりである。 いつまでも平和のうちに自分の音楽を追求できる世の中でいて欲しい。「大砲が鳴ればミューズ(芸術の女神)が沈黙する」−そんな世の中にはなってほしくないものである。

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