KyojiOhnoのブログ

作曲家、編曲家、ピアニストそして製作会社の経営者ですが、ここでは音楽以外の社会一般のことの雑感について書きます。

ムサシ=不正選挙論を検証するーこれが安倍政権のしかけた罠だったらどうしますか?

さて選挙が近くなる決まって出てくるムサシによる投票改竄説

簡単にいうとユポ紙に鉛筆で書かれた投票内容をこの機械によって投票内容の改ざんをたやすく行うことが出来る、という話がまことしやかに流れています。具体的には「鉛筆のカーボンを遊離させ、再付着させる」という方法だといいます。

実は私は知り合いのつてで一度だけ選挙で開票立会人をしたことがあります。

実際見た経験から申し上げます。

いわゆる選挙時に使われるムサシの機会には次の3つがあります

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投票用紙自動交付機

1つは投票用紙自動交付機。皆さんが投票所に行くときに投票用紙を発行する機械です。これはどなたでも見たことがあるでしょう。これは投票前にしか使わないものです。

投票所には投票を管理する立会人が必ずいてそれは、自民党、当時の民進党と無所属の候補から推薦された人が立ち会っています。投票箱は開票まで誰もさわってはいけないことになっています。

立会人の最初の仕事は、投票箱を開けるさいに立ち会い、投票箱が空になったことを確認することです。投票箱の「任務」はここで終わりですぐに片づけられます。

そして開票作業です。

「不正選挙」を主張する人はこの工程で「不正があるはずだ」と主張していますが、開票作業に使うのは次の3つの機械です。それ以外の機械は私がみた限り一切使っていません

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自書式投票用紙読取分類機

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「天地表裏反転ユニット」

 さて「不正選挙」投票の改竄はこの2つの機械のいずれかで行われている、と主張していますが、そこの部分を検証しましょう。

まずせっかくの機会なのでこの両方を私はよく調べました。写真は撮れなかったのですが詳細に見てみました。

結論からいって「読み取り機」のようなものはありましたが、あとは普通に機械的に分類するメカ部分しか見ることができませんでした。コピーの紙用紙をソート{振り分ける)機械と本質的に同じものです。

仮に「不正選挙」を主張する方法論

1.鉛筆のカーボンを遊離する

 まあ確かに理論的には不可能ではありませんが、不正選挙を主張する人たちがこの上記の機械のどこの部分でその工程を行うことができるか、については一切説明がありません。仮に実際鉛筆のカーボンを遊離させようとするとどういうことが起きるかといいますと

                

鉛筆の中にはカーボンの誘電体だけでなく鉄分も入っています。だから誘電体だけで鉛筆の文字部分の全てが取れるわけではありません。また仮にそれができたとしても相当な量の電磁気がないとそれは起こりません。それも周囲のパソコン、スマホ等の電子機器に明らかに影響を与えるほどのものでなければなりません。しかし現場にいて現場の電子機器が強力な電磁気で異常をきたしたとかスマホが使えなくなったなどということはありませんでした。

2.遊離したあとカーボンを再装着させる

 仮にこれが可能であったとして、鉛筆とこちらも同じ成分を磁気装着させるとしたらこちらも同じく相当な磁気を発生させないといけません。それも周囲のパソコン、スマホ等の電子機器に明らかに影響を与えるほどにです。誘電体装着という工程ができればの話ですが、仮にそれを化学装着させるとしたら密封された空間がないと、綺麗に装着はできないし、実際そんなに綺麗に装着できるものではありません.。塗装工程のメッキと同じです。

 またプリンターと同じ原理で再度装着するという説もありますが、仮にそうだとすると明らかにプリンターの部品(カートリッジとか)といえるようなものがないといけません。上記の機械のどこを探してもそんなものは見つかりませんでした。

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改竄されたといわれる投票用紙(どこが改竄されたのか説明が一切ない)

上記の写真は「不正選挙」で改竄されたと、あえていわせてもらえれば「陰謀派」が主張する投票用紙です。私は拡大したりしてみましたがどうみても改竄されているようには見えません。また仮に彼らがいう「カーボン乖離」で改竄されたとしても鉛筆は実は必ず「書いた跡」が残ります。つまり後で仮に再度鉛筆でプリントしたとしてもすぐに「改竄のあと」というのは見えるはずです。上記の写真のどこをみてもその後は見当たりません、逆にこちらの方がインチキに見えます。

 テラックによる「不正選挙」を主張する人たちに共通するのはテラックの機械の具体的にどこの部分で「カーボン乖離」が行われ、どこの部分で再度「カーボン装着」が行われるのか、具体的な説明が一切ないことです。理論上は確かに不可能ではないですが。それをやるには町工場クラスの大きな機械がないと不可能です。そんなものが全国何千とある投票所にあるはずなどありません、そんなものがあったら目立ちますよ。

もしあくまでこの「ムサシ」で票が実際に書き換えられると主張する方は、実際この「ムサシ」のテラックのどこの部分で具体的にどうやって票が改竄されるのかをご説明下さい。単なる状況証拠や誰かの思い込み情報だけで決めつけるのは逆に危険です

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投票用紙計数機

これは投票用紙計数機で単純に票数を数える機械。銀行などにある札を数える機械と同じです。この工程も見ていましたが職員が票をセットし、100ずつ数えていく。ただそれだけ。それ以上のことはどこを見てもできません。

私はあえてムサシ(これは会社名で実際は機械名は「テラック」)による「不正選挙」を主張する人を陰謀派といいましたが、まずムサシによる「テラック」で改竄されたと主張するのならその機械が実際に投票用紙を改竄している動画や写真の現場をうつしたものが1つもない。という点がこの「不正選挙論」が私は胡散臭くさせてしまいます

 また「証拠写真」と彼らが主張するページの多くがリンク切れになっているのもその情報の信頼性に?マークがつきます。

それに何よりも この噂の情報の出所が不明である、 という点が何より気になります

ちなみに私と同様に開票立会人をされた方のブログ記事です。この方は日本共産党の方なのでこの「ムサシ」について嘘をいう理由などありません。

shizuku5342.blog45.fc2.com

まあ勿論どうしても不安だというのなら、ボールペンやマジックマーカーで投票しても問題はないでしょう。それを禁止する法律はありませんので

無論集計ミスとかいうのは起こりえますが、それは複数の人間が再三再四確認して起きないようにしているし、少なくとも私の現場でも起きていませんでした。

それにしてもこの「ムサシ=不正選挙説」が一向に消えない理由はなんなんでしょうか?それは現代人は「そうであってほしい情報」「自分にとって都合のいい情報」というものを信じやすくなっているからじゃないでしょうか?

特に野党支持者は与党で選挙に負け続けてきて、しかも野党支持者はだいたい同じ支持者と群れていますから「周囲は全部自分と同じ、反安倍政権だ。SNSもそうだ。これはおかしい!」ということから「不正選挙があるに違いない」と思い込んでしまう傾向があるようです。実際メデイアの世論調査と自分の周囲の激しい乖離がその思いを余計に搔き立てます。

気持ちはわからなくはありません。しかし「そうであってほしい情報」「自分にとって都合のいい情報」を無条件に信じ込むのは危険です。それはネトウヨレベルのデマを信じ込み拡散する構図と全く同じです。何もネトウヨの思考回路と同じレベルに自らを合わせる必要はないと思いますし、このような行為はリベラリズムそのものを貶めるものです。こういったデマがまかり通ると、どんなにまじめに要求運動や住民投票や選挙をやっても、この陰謀論があるからリベラル、サヨクは怪しいというイメージになりかねません。

仮にですよ。 

このムサシ=不正選挙の噂の出所が安倍政権側だったとしたらどうしますか?

そうこれが安倍政権のしかけた罠だったらどうしますか?

具体的には

(1) 「不正選挙が行われている」ということで人々を投票所に足を運ばせない効果を狙う(投票率が低い方が安倍政権に有利)
(2) リベラルの多くは「デマ」を信じ込むというリベラルのイメージ低下を狙ったもの

情報化社会とはいつもそういう可能性を考えていなくてはなりません

リベラリズム、は長い間の低迷によって、そして実際起きている弾圧によっていささか被害妄想に近い状況になっているかもしれません。しかしだからこそリベラリズムは安易な情報やデマに飛びつくということは避けるべきだと思います。安易な陰謀論に同調するのはやめましょう!

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