ヨーロッパ取材旅行ー決して「セレブ」のためではなかった客船の旅
業務上でドタバタしてしまい更新が遅れてしまいましたが.
今回のポルトガルからスペインの旅には2つのプロジェクトが背景にありました。
1.BSテレビ朝日「世界の船旅」の取材、撮影
2.番組のスポンサーが計画する客船ツアーのVP(商業映像)の撮影
その関係で情報を可能な限り正確に把握する意味で多少語学ができる私が取材旅行に同行することになりました。スポンサーが売り出したいのは再来年、日本に来航するオーシャニアクルーズの「マリーナ号」です
オーシャニア クルーズのマリーナ クルーズ船 | マリーナのデッキ見取り図 | オーシャニアクルーズ
私も客船に乗船するというのは初めての経験でしたが、おそらく大多数の人が豪華客船に乗る人は「超セレブ」か「ハイソ」な人、というイメージを持っていると思います。
正直私も今回の取材をする前はそう思っておりました。そして実際なかにはそういう人たちしか参加できない客船クルーズも少なくないのだと思います。ところがこのオーシャニアクルーズに関して言えば全くそういった先入観はあてはまらない、ということが実際取材してわかりました。
客船に関しては私は詳しいわけではないので、あくまでオーシャニアクルーズに限った話ととらえていただいて結構です。
客船の乗客の殆どがリタイアした老夫婦でした。主にアメリカ、カナダ、ヨーロッパでリタイアした人たちがのんびり客船で楽しく旅をしようという人たちで、他の客船はわかりませんが、このオーシャニアクルーズの特徴としては「リピーター」が多いという点で、多い人は12回もこの客船に乗っている人がいました。皆さん表情が明るく船の旅自身を楽しんでいることがわかります。やはり船から大海原を見ると心が広くなるんでしょうか?
今までのイメージだと「セレブ」や選民意識に凝り固まった人しかいないのではないか、と勝手にイメージしていましたが、少なくともこのマリーナ号の乗客にはそういう人たちは一人もいませんでした。
結構取材班や一般のインタビューなどを見ると日本だと、眉をひそめたり「ウザったい奴ら」であるかのようにテレビ取材班を見る向きが少なくないのですが、マリーナ号の乗客は皆気さくに私達に語りかけて、インタビューにも驚くほど協力的でした。
またマリーナ号のクルーも全世界のあらゆる国出身のインターナショナルなクルーで主な会話は英語でしたが、非常に訓練されたクルーでした。今回の取材に関しても非常に協力的になってくれておかげで取材は極めて順調に進みました。
乗客のリピーターが多い理由の1つに優秀でフレンドリーなクルーを揚げている乗客も少なくありませんでした。かれらを見るとよくわかります。
マリーナ号の売りの一つが高いクオリティの料理です。実際我々も賞味させていただきましたが、どの料理も一級品といっていいでしょう。グランドシェフ(料理長)はホテルの料理長も努めたフランス人シェフであることからも料理のクオリティがわかります。
今回の取材 で感じたのはリタイアしてのんびりしたいと考えている主に欧米の乗客を見て、彼らは経済的ゆとりというよりは「心のゆとり」のようなものを感じた点です。
客船の乗船費用というと1000万くらいあるのでは、というイメージがありますがこのマリーナ号はなんとレギュラーでしたら一人頭2510ドル(約30万円)、スイートにも何種類かありますが、だいたい120-200万円ですがそんなにべらぼうな価格ではありません。そして船内の食べ物は全て無料(アルコールドリンクは別途費用がかかります)で当然場所の移動もできるわけですから決して「手が届かない」価格ではないわけです。寧ろコスパという観点でいえばかなりいいと考えていいでしょうね
ですから「セレブのゆとり」ではなく「心のゆとり」のようなものを乗客に感じるわけです。
最近の日本人見ると、いつも気が立っている人がいたり、電車等でもしょっちゅうケンカが起きる等、今の日本人はすっかり「心のゆとり」というものを失っている気がします。余裕がないと思考も発想も硬直しがちで柔軟な発想が日本社会全体ができなくなっている印象があります。
それを考えると今の日本人が失った「心のゆとり」というものをこの「マリーナ号」で感じることができたのはなにかよかったような気がします。仕事で撮影は分刻みで大変でしたが、ちょっとしたバカンス気分を味わうことができました。正直テネリフェで下船する時は寂しかったですね。このままリオデジャニイロまで乗っていたいと本気で思いました。
最後に船でしか撮れない写真を二つ
大海原での夕焼け
そして朝焼けです。まるでクロードモネの絵のようです
心の余裕を失い、思考も硬直化、他人に対するフレンドリーな気持ち
そういうものを現代の日本人は失ってしまったように思います。先進国から後進国に転落している国の実態をこういう観点からも見ることができます