KyojiOhnoのブログ

作曲家、編曲家、ピアニストそして製作会社の経営者ですが、ここでは音楽以外の社会一般のことの雑感について書きます。

青学原監督の手法は今日本に必要とされているモデルケース

休止前に云っておきたいこと3

毎年駅伝の話をしているが今年も既に周知のとおり。青山学院大学(以下青学)が箱根駅伝3連覇、史上4校目の大学駅伝3冠という圧倒的強さを見せた。

復路は一度もトップを譲らない完全優勝。原晋監督は2003年に監督へ就任して以来これだけ強いチームを作ったわけだが、その内容をよく見ると今の日本の組織に一番欠けていることを実践していると感じた。

■青学・原監督「管理職の仕事は管理じゃない」
http://toyokeizai.net/articles/-/151440

■青学・原監督が明かす「強いチームの作り方」
http://toyokeizai.net/articles/-/151432

ポイントなる部分を引用する

監督が指示を出さなくても部員それぞれがやるべきことを考えて、実行できるチームです。つまり、指示待ち集団ではなく、考える集団。言葉にするのは簡単ですが、考える集団をつくるには、土壌づくりと同様に時間が必要です。

部員からの提案を嫌がる監督もいますが、それだと、監督の指示を仰ぐ部員やスタッフばかりになってしまいます
<中略>

初期の段階は教えることがたくさんありました。考える習慣がない部員に「さあ、考えなさい」と言っても無理。だから、監督に就任した頃は、私が話すことが多かったと思います。ただ、考えるための材料は与えても、できるだけ答えは出しませんでした。そうすると、なんとか自分で答えを導き出すしかありませんから。


このレベルに部員が育つまでには、やはり時間が必要です。

答えを出して、相談できるようになると、個々に考えるだけではなく自主的に話し合いをするようになります。青学陸上競技部でも学年を飛び越えた話し合いをよく見かけるようになりました。



考えるということは、縦のつながりも横のつながりも生み出すということです。営業職の方が宣伝部、人事部など他部署に社内ネゴシエーションするようなものです

就任した当初は怒ったこともありましたけど、今は怒るよりも諭すことが多くなりました。チーム全体を俯瞰で見ているのは監督ですから、感情的に怒るよりも言葉でじっくり諭したほうが部員の心に響くものです。

そして何よりも次の文章

チームが強くなるほど、監督の「見る」仕事は増える。それが成長したチームの理想形です。その状態を維持できるチームこそが常勝軍団だと私は考えています。

エンジン全開でこちらの部員、あちらの部員と精力的に指示を出している監督もいますが、それはチームがまだ成熟していない証拠です。あるいは、こと細かに指示を出さないと気が済まない監督だと思います。

チームが強くなるほど、監督の「見る」仕事は増える。それが成長したチームの理想形です。その状態を維持できるチームこそが常勝軍団だと私は考えています。

チームにしても会社組織にしても今まで日本で信じられてきた管理手法を根底から揺るがす手法だ。以前、アメリカの友人に「日本に欠けているのはよいマネージメントだ」といわれたことあるけど、その「マネージメント」はバリバリに管理することではなく、こういうことをすることではないか、と思う、

このケースは日本の経営マネジメント、さまざまな面でモデルケースになるかもしれない。ブラック企業なるものは社員に「思考停止」を要求し、さながらカルト集団のように作り上げるが、ブラック企業は決して今の青学のような組織には勝てないということがわかる

今の日本社会に欠けているありとあらゆることがこの青学の陸上部で実践されている。この原監督の手法はこれからのマネージメントのモデルケースになるのではないか? 今までの日本の伝統的な「体育会的手法」はもはや時代遅れということだろう

それにしてもこれは簡単なことではない

なぜなら多くの日本人は子供の頃から「考える」という習慣を育てられずに成長しているからだ。学校ではあたかも工業製品のように「統一規格」の人間しか受け付けないシステムになっている。

かくして「学校のカリキュラムで習っていない」という理由だけで本来なら正解な子供の回答に×を与えるという信じられない教育が結果として横行している。


少なくとも大学レベルでまともに数学を勉強していれば3.9+5.1=9.0 は誰がみても正解なはずである。なぜなら小数点一位の値もこの場合意味を持つので数学上9.0以外の正解などありえない、はずだが不正解になっている。理由は「まだ小数点をやっていないから」という信じられない理由からだ

もう1つ実にアホらしいのだが

今の日本の小学校は天動説を教えているらしい

これ以外にもかけ算の順序、足し算の順序、という「問題」があって、2x3=6は正解だが、3x2=6は不正解、同じように2+3=5は正解だが、3+2=5は不正解、という「世界」があるのだという。あまりにもアホらしいのだが、要は学力という「結果」よりも、教員の指示通りに解答していないという「プロセス」に重きを置いているためにこのようなアホらしいことが行われているのだという

文部科学省の指導要領には「学校のカリキュラムで教えていないことは教えてはならない」とは書いていない。しかし最近このような極めてアホらしい「プロセス」とやらに異常にこだわる教師が増えているというのははり陰に文部科学省より指導ー「学校で教える「プロセス」重視を最優先させよ」という指導があったためと考えるのが自然である。

このような指導方法は子供に「考える力」というものを萎えさせ、教師のいうことに盲目的に従う「思考停止児童」を大量に生み出すことになる

まさにこれこそが文部科学省の本当の目的であろう。「思考停止」の人間が増えることほど権力者にとって都合のいい社会はないからだ。

そして今まさに日本人はそういう「一億総思考停止」の状態になりつつある

それだけのこの青山学院大学の駅伝での成功はこうした風潮に一石を投じてくれればと思う。「考える」ことに慣れていない日本人を「考える」集団にする。

そういう集団を作るのは簡単ではない。だが企業でもチームでもそういう集団ができれば「ブラック企業」や「カルト集団」(全員が思考停止)など到底太刀打ちできないだろう。

原監督のような手法が日本社会に蔓延し、モデルケースとして広まることを願わずにはいられない