KyojiOhnoのブログ

作曲家、編曲家、ピアニストそして製作会社の経営者ですが、ここでは音楽以外の社会一般のことの雑感について書きます。

貴乃花と相撲協会に関するマスコミの報道と世間の反応にみる日本人の「ムラ社会」の病巣

私はワイドショー的な話題は本来なら興味ない。特に毎日朝から晩まで貴ノ岩の暴行事件の報道をこれでもかとたれ流してワイドショー系には正直うんざりしていた。

何故被害者が悪者扱い?

だがそんな私も絶えずその報道には何か違和感を感じてきた。というのも本来なら被害者側であるはずの貴乃花貴ノ岩に対するバッシングがマスコミ、ならびに世間一般から流れてきて、被害者の方が完全に「悪者」扱いされていたからである、

 

そして今日ノンフィクションライターの窪田順生氏によるこの記事を読んで今回の一連の動きに関する概要が見えてきた。フリーになった人間の方がジャーナリズム精神を堅持しており、問題の本質をきちんとついていることがわかるからである。

 

貴乃花親方バッシングに見る相撲協会とマスコミの「狂気」

diamond.jp

この記事で今回の一連の騒動の問題の本質が見えてきた。

単なる酒の席の諍いではなく、もし貴ノ岩の証言が事実であればこれは「集団リンチ事件」である。それも横綱2人が関与している(うち一人は完全な加害者)という事態。

その問題の本質は上記の窪田氏の記事にも書いてあるように日本社会の「ムラ社会的」な体質のなせる業であるという点。これは読んでいて実によくわかる。物事の正しいか正しくないではなく、「ムラ」の秩序を乱す者は、組織の総力を挙げて潰すという論理だ。

所属する「ムラ」のためならすべてが正当化される異常社会

だから大横綱がからむ「集団リンチ」の真相究明ではなく、「組織への報告がない」ことを問題視する。少しくらいの不正、少しくらいの暴行などを行っても、それが「組織のため」という大義名分があれば、「ムラの功労者」として表彰される。これがまさに今相撲協会で起こっていることだ

それが今やジャーナリズム精神など欠片も持っていない、「ムラ社会の一員=サラリーマン」化したテレビ局、新聞記者などが相撲協会が流す「ムラ社会の正義」をそのまま垂れ流し、世界でも最低レベルのメデイアリテラシーしか持たない純粋でピュアな日本人はマスコミが流す「貴乃花けしからん」論を鵜呑みにし、そしてバッシングに便乗するという構造だ、

それが当然ながら日本社会に蔓延するパワハラ、いじめ(セクハラも当然含む)を誘発している。上記引用文章に書いてあることをそのまま引用させていただく

働き方改革を謳っても過労死やパワハラがなくならいのも、多様性が大事だと謳ってもセクハラや差別がなくならないのも、「組織に対する盲目的な忠誠」というものが、宗教のように我々の心に刷り込まれているからではないか。

「従順と奉公」が正義とされる社会では、「上」に逆らうものにはどんな手を使ってでもこの正義を分からせなくてはいけない。では、どう分からせるかというと、罵詈雑言を浴びせたり、白鵬のような説教をしたりして精神的に追いつめて従わせるか、力づくで従わせるしかない。これが日本社会に蔓延するパワハラや「いじめ」の正体だ。

 極めて不健康で気持ち悪い構造といわざるを得ない

日本の「ムラ社会体質」が日本を後進国にする

私は欧米社会で育ったのでその面普通の日本人と違うのかもしれない

欧米では何よりも「個」としての意識が優先するし「自分の意見を持つ」「自分の意見を云う」のが一人前の人間として見られる条件だ。だが日本ではそういう人間は「出しゃばり」「異分子」と煙たがられるのが普通だ。だから世間もマスコミも貴ノ花親方のようなタイプの人間は大っ嫌いなわけだ

江戸時代に実際に討ち入りを行った赤穂浪士は「忠臣蔵」などといまだに讃えられ、組織に対する滅私奉公こそが最も美しい生き方かのような受け止め方などはアメリカ育ちの私には違和感しか感じない。

だがそういう「ムラ社会」を絶対視する日本の風潮はグローバルな情報化社会ではどのように受け止められるのか。

■「日本で暮らせる人ってすごい」 海外移住者が語る理由に反響

sirabee.com■日本の社会がゆっくりと息苦しくなっていくメカニズム

www.huffingtonpost.jp

今ネットを通じて世界中の人とつながっている。日本社会だけの狭い「ムラ社会」で押し通せる時代はそれでよかったが、世界中がつながっているグローバル社会ではそうはいかない。

どうもこれは日本人のDNAレベルにまで浸みこんでいるようなので難しいかもしれないが、そろそろ「ムラ社会」を日本社会も卒業しないとグローバルなインターネット社会では大きく遅れをとってしまう、これはハードウエアやシステムの話でなく日本人の意識の問題だけに事態は深刻だ。このまま日本人が「ムラ社会」的論理に固執すればグローバルなネット社会では完全に後進国になってしまう。

 その一例を示そうと思う。

ちなみに日本のマスコミ人の殆どがそういう認識を持っていないだろうが日本のマスコミ人は既に外国からバカにされている。それは日本の低い報道ランキングを見てもわかる

日本は72位である

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https://www.reddit.com/r/MapPorn/comments/68f1vs/freedom_of_press_map_2017_by_reporters_without/?limit=500

Media freedom in Japan has been declining ever since Shinzo Abe became Prime Minister again in 2012. What with controversial dismissals and resignations, growing self-censorship within the leading media groups and a system of “kisha clubs” (reporters’ clubs) that discriminate against freelancers and foreign reporters, journalists have difficulty serving the public interest and fulfilling their role as democracy’s watchdogs. Many journalists, both local and foreign, are harassed by government officials, who do not hide their hostility towards the media. Members of nationalist groups on social media also intimidate and harass journalists who dare to question the government or tackle “controversial” subjects. Despite UN protests, the government continues to refuse any debate about a law protecting “Specially Designated Secrets,” under which whistleblowers, journalists, and bloggers face up to ten years in prison if convicted of publishing information obtained “illegally.”

 訳をすると以下の通り

安倍晋三が2012年に再度政権を取ってから報道の自由度は著しく衰退した。海外からも問題ありとされている「記者クラブ*1フリーランスジャーナリストや海外の報道関係者を締め出し、ジャーナリストは公共の利益となるはずの「民主主義の番犬」の役割を果たせなくなり、多くのジャーナリストは政府から迫害を受け、政府もメデイアに対する敵意を隠さなかった。ネトウヨを始めとする右翼もソーシャルメデイア等でジャーナリストへの攻撃に加わり「都合の悪い」質問をする記者を攻撃した。

国連が日本政府のこのような姿勢に抗議したにも関わらず「国家機密法」を制定し「政府が違法だ」と制定したジャーナリストやブロガーを最大10年の懲役刑に処す等の法律を制定した

 この問題と貴乃花の報道は一見無関係に見えるが本質は同じである。

要は「記者クラブ」という「ムラ社会」の論理をジャーナリストとしての社会的使命よりも優先させた結果、このように報道の自由度が下がっている点

救いがたいのはそのことに対してジャーナリストとして恥ずかしい、といった考えを露も持っていない報道関係者が大多数な点だ。

72位、もはや先進国のマスコミとは到底言えない順位である。そしてそのことに対して恥をしらないマスコミ関係者。ジャーナリストの社会的使命よりもマスコミのムラ社会」の犬であることを優先しているからだ

彼らを報道関係者と呼ぶのもおこがましいかもしれない