KyojiOhnoのブログ

作曲家、編曲家、ピアニストそして製作会社の経営者ですが、ここでは音楽以外の社会一般のことの雑感について書きます。

誰も問題にしない安部首相「いいとも」出演のフジの姿勢

既にご存じのとおり来週で30年以上長きにわたっていた「笑っていいとも」が終了するが、その前に本日安部晋三総理大臣が「笑っていいとも」テレフォンショッキング(もっともだいぶ前から「予定」されたテレフォンなので単なるゲストコーナー以上のものではないのだが)に出演した。

たまたま自宅で昼食だったので別に見たくもなかったのだが、目に入ってしまった。森田和義との会話には政治の内容に関する話題は一切なく、何の内容もない単なる世間話以上のものではなかった。

twitterでは「安部帰れ」「安部やめろ」といった内容のツイートが多い割には結構克明に出演風景を描いていたが、それにしてもフジCXがどういう意図で安部晋三「笑っていいとも」に呼んだのか全く理解不能である。

安倍首相は「笑っていいとも」を「国民的番組」と評していたが、これらの発言を見る限り安部晋三自身が来週終了する「笑っていいとも」への出演を強く希望していた可能性が高い。

そもそもこのテレフォンショッキングはいつの頃からは不明だがこのコーナーに出るためには番組に「広告費」としてCXにお金を払うのが常習化しているのは業界の中では常識である。そのため普通は「出たい」と思ってもそう簡単には出演できない。仮に一国の首相でも「出たい」と希望してもじゃあその「広告費」をどこが出すのかという問題が出てくるはずなので、結果としてCXが応じたとしたらそれはある特定の意図がフジテレビにないと実現できないはずである。つまり仮に安倍首相が言いだしっぺだとしても安部首相の「いいとも」出演にフジテレビが何らかの「便宜」を図ったのはまず間違いない。

ここで私が問題にしたいのは総理大臣は一般芸能人ではなく「公人」であり、この国の権力者でもあるわけだ。

マスメデイアが権力者を招聘する場合は何らかのレギュレーションやコンプライアンスがなくてはならない。なぜなら本来マスメデイアは権力のチェック機能も果たさなければならないという建前があるからである。(勿論最近は本当にそれが単に建前に過ぎず、既にマスコミは権力のチェック機能を事実上放棄しているのが現状なのは周知のとおり)今回のフジテレビには全くそういう姿勢が感じられなかったことに私はものすごい違和感を覚える。

総理大臣を「普通の芸能人」と同等に扱い単に知名度で視聴率があがるだろう、という安易な姿勢しか感じられない。と同時に現代の政治家がメデイアに露出する-それもおそらくは本人の強い希望でーということであれば何の意図もなく出演するなどということは常識では考えられずそこには必ずある一定の意図と目的があると考える方が自然である。

いずれにせよこの安部首相の「いいとも出演」にはマスメデイアが何らかの意図や目的で権力に媚びているという堕落したマスメデイアの姿という印象は今回拭いきれない。

権力者とマスメデイアは少なくとも民主主義の社会では決して友達になってはならない。実際安倍首相はNHKを「私物化」するために会長を始め自分のお気に入りの人物(殆どが右翼もしくは国家主義的見解をもつ人物)をどんどん送り込んでいるのは周知の事実。
今日のできごとをみると、安倍首相は今度はフジテレビも自分の思いのままになるメデイアにしようと考えている可能性が高い。「笑っていいとも」という安部首相のいう「国民的番組」に首相である自分が出ることこそが意義がある、と考えているのかもしれない。

ちなみにアメリカでは大統領がテレビに出る場合はもの凄い厳しいレギュレーションやハードルがある。大統領が選挙期間以外にバラエテイ番組に出ることはまずありえないといっていい。そのくらい権力者とマスメデイアの関係はデリケートでなければならないのだ。それを考えると日本の有識者を含め今回の現役総理大臣のバラエテイの生出演というできごとに対して誰も疑問を挟まないというのは私は不思議でならない。

日本では今「権力機能のチェック」というマスコミが本来果たさなければならない役割と意識がマスコミ人の間でものすごく薄まっていることを感じる。私はこれは日本の民主主義にとって極めて危険な兆候と言わざるを得ない。

それにしても今回フジバラエテイ番組の出演に安部首相がどのような目的と思惑で今回の「笑っていいとも」出演と実現したのであろうか?

可能性が高いのはB層の安倍支持への取り込み」を狙ったのでは? ということ。タモリとの世間話、殆ど他愛もない話だがあれによって普段政治に関心がないミーハー層は「安部首相は親しみやすい人だ」などという印象を持ってしまったかもしれない。これこそが安部首相の狙いなのではないか?

折しも今月の世論調査では安倍内閣の支持率は50%を切っており、その支持率ダウンに最低限歯止めをかけるための今回の「笑っていいとも」出演ではないのだろうか? 「いいとも」の会場にいる人たちや熱心に見ている人たちをみると生まれてこのかた選挙にいったこともなさそうな人が多そうである。話題も政治とは無関係の世間話ばかりでB層の好印象を得ようと云うのが目的の可能性が高い。

ちなみに私のfacebookの友人は誰も何も書いていない。これは平たく言えばみんな「無視」したんだろうと思う。私の友人は賢明な人ばかりである証拠かもしれない。

何度もいうがメデイアと権力者の関係はデリケートなものでなくてはならず、マスメデイアに関してはそれに関するコンプライアンスを制定し順守しなくてはならない。

今のマスコミは「報道しない権利」のためのコンプライアンスは守っても「権力のチェック機能」に関するコンプライアンスの制定をするつもりはないらしい。

フジテレビCXの今回の姿勢を見ると、そう思わざるを得ない。

日本のマスメデイアの姿勢が問われる

<追記>

こんな情報がありました。事実とすれば安部はNHKだけでなくフジテレビCXも自分の思いとおりになるメディアにしようという明確な意思が読み取れる。安部政権は世論の洗脳をいよいよ本腰を入れて始めたといわざるを得ない。

■官邸テレビ支配進行 首相の甥がフジ入社、麻生氏甥はTBS在籍
http://www.news-postseven.com/archives/20140320_246386.html

安倍晋三首相肝いりで会長や経営委員会人事が行なわれたNHKでは、番組制作が政権寄りになっているのではないかとの指摘が出ている。また、民放各局でも反安倍派の論客がレギュラーから外される動きが出ている。
 安倍官邸のテレビ支配が進むなか、いまテレビ業界でにわかに話題になっていることがある。この4月から、安倍首相の弟である岸信夫・外務副大臣次男が、フジテレビに入社する予定だという(フジテレビ広報部は「内定者についてはお答えできない」と回答)。

「安倍首相の甥が入社することは社内ではかなり早い段階で噂になっていた。第一次安倍内閣の際には中川昭一財務相(故人)の長女が入社しています。日枝久・会長と安倍首相がゴルフや会食を重ねる親密な仲であることは周知の事実なので、このタイミングで安倍首相の甥が入社することは、余計な憶測を呼んでしまうかもしれません」(同局局員)

 ちなみに、TBSには、麻生太郎・副総理の甥が在籍している。気がつけばテレビ局は、政権幹部の縁戚ばかりになっている。もちろん、そのことが入社に影響を与えたり、縁戚がいるから批判を手控えるなどということは、報道機関としてあり得るはずがない。しかし、どうしてもそうした憶測を呼んでしまうのは、安倍政権とテレビの距離があまりに近過ぎるせいだ。

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