KyojiOhnoのブログ

作曲家、編曲家、ピアニストそして製作会社の経営者ですが、ここでは音楽以外の社会一般のことの雑感について書きます。

「知る権利」「取材の自由」を秘密保護法案に明記、だが...

「知る権利」「取材の自由」を法案に明記することに消極的だった自民党が最終的には公明党の要求に折れ、明記することになったようだ。

■「知る権利」「取材の自由」秘密保護法案に明記 最終案

http://www.asahi.com/politics/update/1017/TKY201310170123.html

機密を漏らした公務員らの罰則を強化する特定秘密保護法案の最終案の全容が明らかになった。公明党の修正要求を反映して、知る権利や取材の自由に「十分に配慮」することを明記し、取材を「正当な業務」と位置づける。安倍政権は22日にも与党内の手続きを終えて法案を閣議決定・国会提出する見通しで、今国会成立の公算が大きくなってきた。
特定秘密保護法案の最終案詳細

http://www.asahi.com/politics/update/1017/TKY201310170125.html

 最終案は、取材活動について「専ら公益を図る目的を有し、かつ、法令違反または著しく不当な方法によるものと認められない限りは、正当な業務による行為とする」とする文言を盛り込み、法律の解釈や運用にあたっては「国民の知る権利の保障に資する報道または取材の自由に十分に配慮しなければならない」と明記。取材活動の自由を担保するよう求める公明党の要求に応じた。

 特定秘密の指定や解除のほか、秘密を取り扱う公務員らの適性評価については恣意(しい)的な運用やプライバシー侵害への懸念が出ている。最終案は「統一的な運用を図るための基準を定める」と明記。基準を定めたり、変更したりする時は「安全保障に関する情報の保護、行政機関等の保有する情報の公開、公文書等の管理等に関し優れた識見を有する者の意見を聴かなければならない」とした。

まず国が「国家機密」にしたことにマスメデイアが取材できる道を開いたこと、そして国家機密について「安全保障に関する情報の保護、行政機関等の保有する情報の公開、公文書等の管理等に関し優れた識見を有する者の意見を聴かなければならない」、つまり第三者の見識を仰がねばならない、と明記したことでかなりこの秘密保護法案の危険な部分が薄まったことは評価できる。公明党が一応政権の中できちんとブレーキ役になったと考えていいだろう。

だが上記の第三者の見識を仰がねばならないのはあくまで公務員に対する適正評価についての基準であり、もう1つの懸念の問題についてはまだ解決されないままである。

まず問題点

1.摘要範囲

第三条 行政機関の長は、当該行政機関の所掌事務に係る別表に掲げる事項に関する情報であって、公になっていないもののうち、その漏えいが我が国の安全保障に著しい支障を与えるおそれがあるため、特に秘匿することが必要であるものを特定秘密として指定するものとする。

まずここでいう安全保障の定義が不明確である。普通こういう用語に関しては必ず定義を明確にするものだが、この法案にはそれがない。そのため国家や総理大臣が安全保障と定義してしまえばどんなことでも安全保障になってしまう。極端な話福島原発の問題も安全保障に著しい支障を与えることにしようと思えば可能である。(「安全」の意味が全く違うが)

民主国家の「国家機密」こそ民主的な扱いをすべきであり、国家が好き勝手に「国家機密」にできないような監視システムが必要である。

2.指定の有効期間について

第四条 行政機関の長は、指定をするときは、当該指定の日から起算して五年を超えない範囲内においてその有効期間を定めるものとする。

 2 行政機関の長は、指定の有効期間が満了する時において、当該指定をした情報が前条第一項に規定する要件を満たすときは、政令で定めるところにより、五年を超えない範囲内においてその有効期間を延長するものとする。

3 行政機関の長は、前項の規定により指定の有効期間を延長しようとする場合において、当該延長後の指定の有効期間が通じて30年を超えることとなるときは、政府の有するその諸活動を国民に説明する責務を全うする観点に立っても、なお当該指定に係る情報を公にしないことが現に我が国及び国民の安全を確保するためにやむを得ないものであることについて、その理由を示して、内閣の承認を得なければならない。この場合において、当該行政機関の長は、当該指定に係る特定秘密の保護に関し必要なものとして政令で定める措置を講じた上で、内閣に当該特定秘密を提供することができる。

5年を超えても必要な場合は「国家機密」である時間を延長することができ、30年を超える場合のみ内閣で承認する、ということだが「国家機密」である以上、国民には殆どその課程は知らされない状態で進行することになる。であればその運用がきちんとなされていることを一体誰が監視するのか、という問題が起きる。当り前だがこのプロセスは一切国民には知らされない。

3.国家機密と知らない状態で国民が語ってしまった場合

実は秘密保護法案で一番恐ろしいのはここである。当然のことながら一般の国民には何が「国家機密」で何が「国家機密でない」かなど知るはずもない。もしネットなどで何気に話題になっていたことが「国家機密」だった場合は逮捕の対象になりかねない。当然ながら多くの場合、ネットに書き込んだ本人にはそれが「国家機密」だなどと知る由もないケースがほとんであろう。そうすると国家公務員でない人間も逮捕される可能性が出てくる。

だから「知る権利」「取材の自由」が明記されていても安心はできない。秘密保護法案が危険な法律であることに変わりはないのである。

そしてもう1つの問題、

これだけ恐ろしい法律にもかかわらず、国民の大多数がその内容について知らない、という事実である。

■秘密保護法 内容知らず74%
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20131016/k10015302861000.html

NHKが行った世論調査で、政府が臨時国会で成立を目指している「特定秘密保護法案」の内容を「知っている」と答えた人は23%、「知らない」と答えた人は74%でした。

NHKは、今月12日から3日間、全国の20歳以上の男女を対象に、コンピューターで無作為に発生させた番号に電話をかける「RDD」という方法で世論調査を行い、調査対象の66%にあたる1058人から回答を得ました。
この中で、政府が臨時国会で成立を目指している、「特定秘密保護法案」の内容を知っているかどうか聞いたところ、「よく知っている」が2%、「ある程度知っている」が21%で合わせて23%だったのに対し、「あまり知らない」が42%、「まったく知らない」が32%で合わせて74%でした。原子力発電を巡って、政府は、国の原子力規制委員会が安全性を確認した原発の運転再開を進める方針ですが、この方針に賛成かどうか聞いたところ、「賛成」が19%、「反対」が45%、「どちらともいえない」が32%でした。また、東京電力福島第一原子力発電所の汚染水の問題を巡る安倍内閣の対応を評価するかどうかについては、「大いに評価する」が2%、「ある程度評価する」が25%、「あまり評価しない」が45%、「まったく評価しない」が23%でした。

これははっきりいって問題だ。
国民が無関心なのか、マスコミが積極的になぜかこのことを伝えないからか、いずれにせよ事態は深刻である。

ちなみに秘密保護法案に関してわかりやすく漫画にしたものがあるのでご紹介する。
参考にしていただければ幸いである。