KyojiOhnoのブログ

作曲家、編曲家、ピアニストそして製作会社の経営者ですが、ここでは音楽以外の社会一般のことの雑感について書きます。

平清盛ー禿(かむろ)は平家物語の創作?

平清盛ー今日は兎丸(うさぎまるーこの人物は大河ドラマ平清盛の架空の人物です)が禿(かむろ)に殺されてしまうシーンが描かれておりましたが、今この禿(かむろ)がちょっとした話題になっていますね。

森田剛扮する平時忠の横にいる美形の禿(かむろ)とかが話題になっていますが、NHKによりますとあの禿(かむろ)は女性ではなく吉武怜朗さんという俳優さんだそうです。おもっきりビジュアル系ですね(笑)

さて、私は前回の平清盛関係の記事で

平時忠が実際にこのようなことをしていたかどうかは不明ですが、(たぶん平家版ゲシュタボはこのドラマの作り話だと思いますが)

と書きました。

つまり私はこの禿(かむろ)が実際に存在したかについては正直疑問に思っております。

といいますのもこの禿(かむろ)に関する記述は平家物語にしかみつからず、他の玉葉』『愚管抄』『百錬抄といった比較的信用度の高い歴史書からは禿(かむろ)に関して一切の記述がないのです。 

すでに以前の記事に書きましたように平家物語は文学的価値はさておき、史実のねつ造や虚偽の記述が多く、史実の参考歴史書としては到底信用できないものである、と断言していいと思います。そしてこの禿(かむろ)の記述はその平家物語以外からは一切見つからないことから、私はそもそもこの存在には疑問に感じていました。

この禿(かむろ)平家物語の記述によりますと

14歳、15歳の童を300人えらんで、髪をかむろに切りまわし、赤い直垂を着せ、京の市中を徘徊させ、平家のことをあしざまにいうものがあれば、これを聴きだして、その家に乱入し、資財、雑具を没収し、当人をとらえて六波羅に検束した。市中のものはおそれて関わらないようにした。禿童は自由に宮中にさえではいりし、禁門をとおっても姓名をたずねる者さえなかった。

と書いてありますが、よくこれを見ると不自然な部分があります。

1.まず「密偵」(スパイ)に赤い直垂という目立つ服を普通着せるものでしょうか? そもそも密告や密偵を行うのならば目立たぬ恰好をさせるのが常識であり、江戸時代の忍者のように黒装束なり現在の軍隊の迷彩服のような傍からみれば目立ちにくいいでたちをするのが常識であろうと思います。今日のドラマでも禿(かむろ)が縁の下に隠れるシーンがありましたが、赤い目立つ服を着ていれば隠れてもすぐにわかりますので、「密偵」(スパイ)活動には不向きであることは明らかです。これだけでも私は信憑性を疑います

2・いくら大勢でも14-15歳の子供が当時の貴族、豪族の家の破壊活動や資財、雑具を没収できるものでしょうか?  当時の豪族にはいずれも家人(けにん)に武士がいるのが常識であり、いかに力が余っている14-15歳の子供とはいえきちんと軍事訓練を受けているとは思えませんので、その辺りのフニャフニャ貴族はともかく一定の訓練された兵に勝つのは難しいではないでしょうか? まして家の財産をそっくり持っていくなどというのはトラックのようなものがある現代ならともかく子供だけでそれらの行為を実施した、という記述には首をかしげたくなります。


3・禿(かむろ)は「宮中にさえではいりし、禁門をとおっても姓名をたずねる者さえなかった」と書いていますが、もしこれが事実だとすれば衛兵や、北面の武士や検非違使は全く職務を放棄していることと同じことになりますから、すでに禁裏は無防備状態といっていることに等しいことになります。となればこれはゆゆしき事態となりますから、もしこの事実が「治天の君」の後白河法皇に知られることになりますと大変なことになります。
なぜなら当時衛兵、北面の武士や検非違使取り仕切っていたのは平家ですから、これだけで平家の責任問題となり結果的にいかに平家とはいえ、大変なダメージになります。
つまりこの記述は本質的に矛盾するのは、「平家に反対する」人間の「密偵」のために結果として平家が禁裏、御所の警備を怠っているという記述となり、もし平家が禁裏、御所の警備を結果として怠っているなどということがわかればいかに飛ぶ鳥をおとす勢いの平家だとしてもタダでは済まなくなります。つまり禁裏、宮中にまで自由に禿(かむろ)が出入りしているというのは常識的にいってありえない、と断言していいと思います。(源氏や義朝が「昇殿」できる身分になるまでにどれだけ苦労したかを思い出してください)

これらのことを考えますと平家物語禿(かむろ)の記述というのは到底鵜呑みにできる内容ではなく、他の歴史書にもこれに類する記述が一切ないことを考えますと史実ではなく、物語を面白くするための創作である可能性がきわめて高いと考えることができます。

元々平家物語は平家、とりわけ平清盛を悪者に仕立て上げるのが目的で書かれたといわれますから、平家の「悪業」の記述に関しては虚偽の記述、もしくは史実を曲げて書いている可能性の方が高いと考えるべきで、NHKなどはあたかも史実であるかのようにこの禿(かむろ)を扱っていますが私はいかがなものかと思います。

それゆえ、もう一度いいます。

たぶん平家版ゲシュタボである禿(かむろ)はこのドラマの作り話だと思います。(殆ど断言している)

と私は思いますが皆さんはいかがですか?