KyojiOhnoのブログ

作曲家、編曲家、ピアニストそして製作会社の経営者ですが、ここでは音楽以外の社会一般のことの雑感について書きます。

平清盛ー保元の乱にみる歴史の転換点と変化のキーパーソン

さて、今日の平清盛は清盛が伯父の忠正、そして源義朝が実父の為義とその弟たち(鎮西為朝を除く)全員を処刑してしまう悲劇的な様子が描かれていました。

そもそも平安時代嵯峨天皇弘仁格にて死刑を廃止しことからこの保元の乱まで347年間死刑というものが行なわれていませんでした。だから清盛も義朝も自分の一族がまさか死罪になるなどとは全く考えていなかったようで、それがこの事件の悲劇性を一層際立たせていきます。特に源義朝はこの件により「親の首を切った子」と揶揄されてしまい本人にとっても深い心の傷となり、結局それが三年後の平治の乱の引き金にもなっていきます。

源氏、平氏ともにこれほどの悲惨な展開になってしまったのは、信西の藤原摂関家の弱体化を狙ったもので、ドラマには描かれていませんでしたが関白の藤原忠通は父藤原忠実の領地の没官を避けるために信西とかなりのせめぎあいがあったようです。しかし信西のこの急進的な改革は反感を呼び、それが結局は平治の乱の原因となってしまいます。いずれにせよ保元の乱は単なる変化の「始まり」に過ぎないと思います。

この保元の乱は多くの歴史家が「古代」が終わり「中世」の始まりと位置づける出来事になっていますが、高々一日の戦いでそんなに簡単に「古代」から「中世」に時代が移るはずがありません。時代が変わり従来の価値観が根本的に変わるという意味では実際には相当長い時間がかかります。

歴史作家の童門冬二氏は時代の変革期には少なくとも3人もしくは3種類のグループのキーパーソンが存在するとしています。

A: 過去の価値観を破壊する者
B: 新しい価値観を建設する者
C; 新しい価値観による時代を維持する者

勿論歴史で名を成す人間は上記の3つの要素を多かれ少なかれいずれも持っていることが多いと思いますが時代の変革、キーパーソンとしての役割を考えるとこの3つに分類されるとしています。
例えばこの「古代」から「中世」の変革期だと

A: 平清盛
歴史上初めての武士の政権である平氏政権を作った
(過去の価値観の破壊)
B: 源頼朝
朝廷から独立した武家政権である鎌倉幕府を作った
(新しい価値観の創設)
C: 北条義時、泰時
義時は承久の乱で朝廷を無力化し、武家政権の磐石化を測り、泰時は御成敗式目評定衆を設置し鎌倉幕府の政治の機能化を図ります。
(新しい時代を維持)

この保元の乱から承久の乱まで足掛け65年の歳月がかかっています。新しい価値観が生まれ定着するためにどれだけ長い時代がかかっているかがわかります。

歴史好きの人でもっともなじみ深い戦国時代ですとこうなるでしょう。「中世」から「近世」の変革期となります。
A: 織田信長
説明の必要はないでしょう(過去の価値観の破壊)
B: 豊臣秀吉
天下統一(新しい価値観の創設)
C: 徳川家康
江戸幕府創設(新しい時代を維持)

さてちなみに「近世」から「近代」は当然幕府から明治政府に移る時になりますが、多少異論がある人もいるかもしれませんが、私はこう考えています。

A: 坂本龍馬
薩長同盟江戸幕府を倒し、船中八策で近代国家の筋書きを書いた
(過去の価値観の破壊)
B: 西郷隆盛大久保利通 木戸孝允
明治政府の基礎固めに奔走(いずれも志半ばで他界)
(新しい価値観の創設)
C: 伊藤博文
明治憲法でアジアで初めて憲法を作り、初の総理大臣となり、その後の明治政府の中でも重きを成した。
(新しい時代を維持)

特にCの伊藤博文に関しては異論がある人もいるかもしれませんが、最近の研究で伊藤博文の再評価が行なわれております。
初代の朝鮮総督になったためにどうしても帝国主義なイメージがありますが、伊藤は山縣や桂太郎などの韓国の植民地化政策には反対していたことが最近の研究で明らかになっています。
(『伊藤博文と韓国併合』 青木書店)
司馬遼太郎坂の上の雲伊藤博文「平和主義者」と描かれていたことが気に食わない左翼系の人が多いようですが、さまざまな外交文書でも伊藤は日清戦争日露戦争に反対もしくは慎重であったことが最近わかっています。少なくとも伊藤博文帝国主義者だったというのはさまざまな資料からみて的外れだと思います。まあ確かに松下村塾では決して優等生とはいえませんでしたので、いろんな評価はあると思いますが...

ちなみに「近代」から「現代」だとどうなるんでしょうね。第二次大戦の敗戦が間違いなく(過去の価値観の破壊)になると思うんですがあとはどうでしょうか?

A: GHQ マッカーサー
(過去の価値観の破壊)
B: 吉田茂
55年体制
(新しい価値観の創設)
C: ?
(新しい時代を維持)

最後のC の(新しい時代を維持)だけとさせていただきます。それともこのくくりかた、位置づけは違うのかな?
だってCを池田首相の「所得倍増計画」なんて書いたら55年体制=現代、になってしまうから、それはやはり違う、というかそういう結論にはしたくないです。

だとしたら誰だろう? 案外まだ見ない人かもしれません。
(間違っても小泉純一郎とか橋下徹とか思わないで下さいね。冗談じゃない)

皆さんの中でご意見があれば...

ちなみに平清盛に話を戻しますが、公式ページに清盛の長男、重盛と悪源太義平との一騎打ちのシーン「左近の桜」があるようです。楽しみですね。平治の乱は7月頃だそうです。