KyojiOhnoのブログ

作曲家、編曲家、ピアニストそして製作会社の経営者ですが、ここでは音楽以外の社会一般のことの雑感について書きます。

IT 企業が経済を救うという幻想

面白い記事を見つけたので紹介しておく

■アップルのような大手 IT 企業はこれ以上アメリカには要らない
http://bit.ly/w187CS

アップルのような大手 IT 企業が米経済を救えるという楽観論に反論した Henry Blodger 氏の記事が本家 /. で紹介されている (Business Insider の記事、本家 /. 記事) 。

アップルやアマゾン、GoogleFacebook といった大企業をもっと作れば、米国の経済が立ち直るだろうとする楽観論がある。つまり、建設及び製造業における余剰労働力を再訓練して IT 業界に送りこむことで、失業問題や不平等問題が解決するだろうという考えである。だが実際のところ、アップルがノースカロライナ州に 10 億ドルを投資して建設した巨大データセンターを例に挙げれば、新しく生まれた雇用はたったの 50 人分だけである。しかも、建設用地の入札を巡ってアップルに破れた企業がもし使用権を得ていたならば数千人分の雇用を創出していたであろうとのこと。地元住民は、巨額をかけて巨大施設を建設したのにほんの少しの雇用しか創出できなかったアップルに対して落胆を募らせている (The Washington Post の記事) 。

氏によれば、この事例は「なぜ米国内で失業問題及び不平等問題が起きているのかを示している」とのこと。「アップルのような IT 企業は、従来の製造業と比較して格段に少ない従業員しか雇わない。また、アップルの従業員数は 6 万人強ではあるものの、それも世界中に広がっており米国内だけの数ではない。アップルのような企業は素晴らしい製品をつくり株主を潤しているが、従来型の大手企業がしてきたように富を広く分配することはない。我々は、アップルや GoogleFacebookAmazon の成功を讃えてもいいが、こういった企業が雇用及び不平等問題を解決してくれると錯覚してはならない」と述べている。

実際の記事
■THE COUNTRY'S PROBLEM IN A NUTSHELL: Apple's Huge New Data Center In North Carolina Created Only 50 Jobs

Read more:
http://www.businessinsider.com/apple-new-data-center-north-carolina-created-50-jobs-2011-11#ixzz1fjSXQnCr

自民党政権時代のその昔、森喜朗なるちょっと頭の弱い首相が「ITが日本経済の起爆剤になり、経済は回復し雇用と安定する」などというバカなことを本気で信じていた首相がいたが、アメリカもご他聞にもれず森喜朗なみの低知的水準の人間が少なくないらしい。

上記の記事にもかいてあったが、そもそもIT企業はよく考えればわかるが実はそんなに人を必要としない業種である。なぜかならITは「モノ作り」ではないからだ。製品を作る工場なら膨大な人数の雇用を生み出せるがITのデータセンターなんてコンピューターのシステム管理能力を持っている人間が数十人いれば済む。だからITってそんなに人が必要な業種ではないのだ。

上記の記事でも

1. アップルのようなデジタル企業は伝統的な製造業と比べ遥かに少ない従業員で同額の収益を生む。
(* "Digital" businesses like Apple employ far fewer people (per profit) than traditional manufacturing businesses.)
2. アップルの6万人の従業員はアメリカ国内ではなく全世界での従業員数である。
( * Apple's 60,000+ jobs are not just in the US--they're spread around the world.)
3, アップルの25%という異常に高い配当は、比較的少ない人数(金持ち)に対するものであり、幅広い中間層を対象としたものではない。
( * Apple's extraordinary ~25% profit margin means that the benefits of its success accrue primarily to a relatively small group of (rich) shareholders rather than a broad base of (middle-class) employees.)

いわゆるグローバリスト新自由主義エコノミストはIT企業の高収益やストックオプションを始めとするシステムを諸手を挙げて礼賛するが、それがアメリカの1%殆どの富を独占し、極端な格差社会、不公平社会を生んでいる。最近のアメリカ各地におきているオキュパイ運動はまさにそうした風潮に対する抗議の意思の表れだが、おそらくグローバリスト新自由主義エコノミストはお得意の「自己責任ー努力しない奴が悪い」の一言で片付けるだろう。

いい加減こういうグローバリスム無条件で礼賛する論調などもうみんな聞き飽きているがマスコミでもネットでもこういう論調が途絶えることがない。正直うんざりしている。

TPP推進派の殆どはグローバリスト新自由主義エコノミストだが、彼らの主張の大半が単なる幻想に過ぎない、ということが少しずつ見えてきたのではないだろうか?

いうまでもないがTPPで輸出が大幅に増える、とか日本経済が発展するなどというのも幻想に過ぎない。これは私だけでなく既に多くの人が証明している。

いい加減グローバリスト派のエコノミスト、マスコミ関係者のいうことに耳を傾けるのはやめた方がいいのではないだろうか?