KyojiOhnoのブログ

作曲家、編曲家、ピアニストそして製作会社の経営者ですが、ここでは音楽以外の社会一般のことの雑感について書きます。

TPPに関する大きな問題5-「アメリカ」しか見ていない「グローバリス

周知の通り野田首相はTPPへの交渉参加を昨日表明したが
野田首相 TPP参加表明へ
http://bit.ly/udx1JE

その僅か4−5時間前での国会答弁で野田佳彦首相は今大きな問題になっているISDに関して全く無知であったことが露呈した。

■《野田首相》11.11国会で佐藤ゆかり氏への答弁で失言?内容と反応まとめ《ISD条項・TPP》 http://matome.naver.jp/odai/2132099841777176101

いやー怒りを通り越して呆れた。ここまでひどいとは。野田首相ISD条項のことは全く理解しないでTPP参加を強行することが明らかになった。こんなどうしようもない人間が首相だなんてそれこそ日本人として恥ずかしい。

映像自体は消されるかもしれないので、そのやりとりを文字で記録したサイトがあるので参照されたい。

http://blog.livedoor.jp/amenohimoharenohimo/archives/65774846.html 
文字だけみても野田首相のドギマギ、狼狽ぶりが手にとるようにわかる。

かねてから政府はTPPに関して国民に対する説明があまりになさ過ぎるという批判があった。しかしこれを見ると説明しないのではなく、説明できない、ということが明らかになった。 勿論例によって「国民にとって都合の悪い」情報は官僚が隠蔽しているのも事実だが、(いつものことではあるが)

■医療自由化目標 「入手していた」 米国文書で厚労相 (10月28日)
http://www.agrinews.co.jp/modules/pico/index.php?content_id=10331

明らかにロコツな情報操作をしている地上波のテレビと違い、ネットではTPPに批判的な論調が圧倒的に見える。しかしネットの論調なんてあまり当てにならないが、そんな中オリンパス粉飾決算問題」で日本がTPPに参加できないかもしれないと嘆く内容の面白いコラムを見つけた。

■「アメリカの陰謀論」に明け暮れるTPP問題、企業統治が問われるオリンパス事件ーー世界の投資家に見捨てられ日本経済のさらなる転落が始まる
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/26140

議員グループが米通商代表部(USTR)のロン・カーク代表に宛てて書簡を送った。

 それによると、議員らは「日本が交渉に参加すればTPP交渉に新たな次元と複雑性が加わることになる。このため(米政府に対し)いかなる決断も下す前に連邦議会その他の関係者に相談するよう強く求める」と要請した。

 その理由として、同書簡は「日本は長い間、国内市場を意味のある競争から保護してきた」と指摘し、米国は日本政府が本気で市場を開放し、米自由貿易協定(FTA)が求める高い水準を満たす用意があるのかを十分確認する必要があるとしている。 〉(ロイター通信、11月8日配信)

最初にお断りしておくがオリンパス問題」は1人の日本人として本当に恥ずかしい事件である。このような粉飾決算は寧ろ例外的な一例だと心から願ってやまない。だがその問題を抜きにして上記の報道がもし事実であるとするなら、寧ろ「渡りに船」である。何度も書くがTPPに参加しても、メリットよりもデメリットが多いし、後述するが参加の際にとんでもない取り決めもあることがわかった。こんなものに参加しても百害あって一利ないといっていい。TPP反対=自由貿易に反対、などという短絡したレッテル貼りもASEAN+6」に反対している人間が殆どいないことからしても推進論者の詭弁に過ぎないことは明らかだ。

それにしても田原総一郎池田信夫(何でこんな爺さんがいまだにもてはやされているのか理解に苦しむ) そして民主党TPP推進急先鋒の金子洋一 各氏の記事と上記の記事を読んでいわゆる「グローバリスト」の論法には3つの傾向があることがわかる。

1.彼らのいう「世界」とは「アメリカのみ」を多くの場合指す。
上記の論法を見ても日本がアメリカから拒否される=日本は世界から取り残される。という論調である。実際TPPに参加しないと世界に取り残されると推進論者はいうが彼らが「世界」といってもアメリカ以外の話が全くといっていいほど出てこないのだ。推進論者にとって「アメリカ」以外の国「世界」ではないらしい。

2.既にTPPに参加している国の実態について殆ど論じていない。
なぜかマスコミも全く伝えていないが既にTPPに参加している国、日韓FTAの韓国、そしてNAFTAの参加国、いずれも大変な騒ぎになっている。そしてそれらの国の実情について推進論者がきちんと分析した例を見たことがない。例えば先日の中野准教授の主張を「事実と反する」と書いている人がいるが何がどう事実に反するのか、どれも詳しく書いておらずいずれの主張も信じられるものではない。

3.推進論者に「国家主権」という観点が抜けている。
こういう書き方はしたくなかった。私は国家主義者でも保守主義者でもない。寧ろそういうものには嫌悪感を感じる。結果としてTPPに関して彼らと同じ言質を書かなければならないことがものすごく居心地が悪い。
しかしだからといってTPP参加国が国内法を「第三者機関」によって国家主権が侵害されるのを容認するものではない。繰り返すがISD条項とは「投資家vs国家の紛争解決条項」である。国民の生活や健康を守るため、国が制定した法律や規制により、外資系企業の営利活動が規制された場合、その企業は現地国に損害賠償請求ができる、という取り決めである。こんな【国家主権】を無視した馬鹿な話があるのがTPPである。

また「第三者機関」といっても実質的にアメリカの影響下にあることは過去の判例からみても明らかである。アメリカが訴訟社会という面を差し引いても過去の判例はことごとくアメリカ企業よりの判定が出ている。

どう考えてもこの条項はおかしい。危険である。

そして先日7月にニュージーランドオークランド大学の教授であるジェーン・ケルシー教授インタビューでとんでもないことを耳にした、

■2011/07/14ジェーン・ケルシー教授インタビュー
http://iwakamiyasumi.com/archives/11017

該当部分を引用させていただく。

ケルシー教授「TPPというのは、いわゆる従来型の“経済協定”というよりも、“投資協定”の意味合いを強くもっていると思います。すなわち、(TPPは)大企業が他の締約国において、事業を大幅に拡大することを可能にするものです。
 この交渉の中で一番大きな国はアメリカ合衆国です。そして、アメリカ合衆国の、有力な大手企業が、交渉官に対して条件を設定しているという構図になっています。この有力企業というのは、大手の銀行、製薬会社、エンターテイメントの会社、あるいは、マイクロソフトのようなIT企業やカーギルのような企業です。これらの大手のアメリカの企業は、自分たちにとって最も有利な条件を引き出すことを要求し、他に影響を受ける国々の小さな農家、消費者や中小企業などについては、関心を持っていません。
 アメリカの企業が、アメリカの政府に対してどのような影響力を及ぼすのかという事に関しては、決して過小評価してはならないと思います。政治献金など多額の金額を、アメリカの政治家に対して、企業は、提供しているからです。ですから、アメリカの議会と大手企業のロビーグループとの関係というのは、非常に緊密であります。従って、議会としても、アメリカ企業の関心、あるいは要求を反映した交渉をすることになります。そしてこれは民主主義に対して非常に大きな影響を及ぼすのです。
 自国においてどのような法律を整備するのか、どのような規制を導入するのかという事に関して他国の企業に決めてもらう、決めさせるという事が容認できる筈がありません。(しかし)今回の協定内容というのは、ニュージーランドあるいは日本の将来の政権が、政策決定に関して、合意した政策協定の中身によって拘束されることになるのです。ですから、政府がそれぞれの国において独立した道をたどることが出来なくなってしまいます。政府というのは、一般の市民の生活に対し責任があります。例えば、医療やインターネットのアクセスや郵政などそれらが大きな脅威にさらされてしまう事になります。ですから、国として独立した道を歩むことが出来なくなる。そして、民主主義が脅かされることになるわけです。
 しかも、この協定の交渉というのは秘密裏に行われています。非公開で行われています。合意に達するまで中身を見ることが出来ないのです。それも非常に大きな問題だと私は考えております。国内において法律、政策が決定するプロセスにおいては、行政府が勝手に決めることは出来ないわけです。国会で審議されて初めて決定するという手続きになっています。国内でこのようなプロセスがあるにも関わらず、どうして国際協定において非公開の交渉になるのか、それが問題だと思います。それを許してはならないと思います」

即ち、参加する場合は次の4点の承認が条件になるという。
1.文書は協定に署名するまで非公開。
2.協定は脱退しない限り永続。
3.規則や義務の変更は米議会の承認を必要。
4.投資家は政策的助言に参加し、規制を受ければ投資家が加盟国政府を控訴可能。

上記の件で明らかになったのはTPPの詳細な内容、交渉過程が秘密時に行なわれるという明らかに主権在民の民主主義に反する協定であるということ。
そして何よりもおかしなことは内容の変更は加盟国の議会ではなくアメリカの議会の承認を得なければならない、という点、これでは加盟国は対等ではない。他の加盟国はアメリカの植民地乃至は隷属国ということになる。そして最後の「投資家は政策的助言に参加」ということは、他国の政策に外資が介入するということを意味する。

こんなバカな取り決めを上記の「グローバリスト」たちは知っていたのだろうか?知っていて推進論を唱えていたとしたら国民に対する背信行為、詐欺行為であり、こういう言葉は使いたくないが「売国奴」といわれても仕方がない。知らなかったのなら上記の論者は野田首相に負けず劣らず無能だということになる。

私は今までもIT系の話でもいわゆる「グローバリスト」といわれている人たちの論調には違和感を覚えていた。しかし彼らの論調に同じることは日本社会を破滅に向わせることに他ならないことを今回の一連の情報で確信した。

オリンパス問題」は恥である。でもそれでTPP参加が見送られるなら大歓迎だ。但し国際金融資本勢力が簡単に日本を餌食にすることを諦めるとは思えないが...