KyojiOhnoのブログ

作曲家、編曲家、ピアニストそして製作会社の経営者ですが、ここでは音楽以外の社会一般のことの雑感について書きます。

TPPに関する大きな問題2ーラチェット規定ISD条項

昨日の記事で私はTPPに現行のままでは反対だと述べた。

しかし誤解して欲しくないのは、私は決して自由貿易そのものに反対しているわけではない。しかしそれはあくまでお互いが対等の条件と立場で執り行われるというのが最低条件である。

ところがTPPは残念ながらそうなってはいない。一つ間違えれば幕末に江戸幕府が結んだ不平等条約に匹敵するくらいの不平等条約になる可能性が高い。

その最大の問題がラチェット規定やISD条項である。

私が書くより、フジテレビでの出演ですっかり有名人になった中野剛志准教授の記述を引用した方がいいだろう。

■『TPP亡国論』/怖いラチェット規定やISD条項毒まんじゅう)/コメの自由化は今後こじ開けられる
http://blog.goo.ne.jp/kanayame_47/e/c2a380186909fe4a095bc953c1d523d9

{前略)
■米韓FTAに忍ばされたラチェット規定やISD条項の怖さ
 さらに米韓FTAには、いくつか恐ろしい仕掛けがある。
 その一つが、「ラチェット規定」だ。
 ラチェットとは、一方にしか動かない爪歯車を指す。ラチェット規定はすなわち、現状の自由化よりも後退を許さないという規定である。
 締約国が、後で何らかの事情により、市場開放をし過ぎたと思っても、規制を強化することが許されない規定なのだ。このラチェット規定が入っている分野をみると、例えば銀行、保険、法務、特許、会計、電力・ガス、宅配、電気通信、建設サービス、流通、高等教育、医療機器、航空輸送など多岐にわたる。どれも米国企業に有利な分野ばかりである。
 加えて、今後、韓国が他の国とFTAを締結した場合、その条件が米国に対する条件よりも有利な場合は、米国にも同じ条件を適用しなければならないという規定まで入れられた。
 もう一つ特筆すべきは、韓国が、ISD(「国家と投資家の間の紛争解決手続き」)条項を飲まされていることである。
 このISDとは、ある国家が自国の公共も利益のために制定した政策によって、海外の投資家が不利益を被った場合には、世界銀行傘下の「国際投資紛争解決センター」という第三者機関に訴えることができる制度である。
 しかし、このISD条項には次のような問題点が指摘されている。
 ISD条項に基づいて投資家が政府を訴えた場合、数名の仲裁人がこれを審査する。しかし審理の関心は、あくまで「政府の政策が投資家にどれくらいの被害を与えたか」という点だけに向けられ、「その政策が公共の利益のために必要なものかどうか」は考慮されない。その上、この審査は非公開で行われるため不透明であり、判例の拘束を受けないので結果が予測不可能である。
 また、この審査の結果に不服があっても上訴できない。仮に審査結果に法解釈の誤りがあったとしても、国の司法機関は、これを是正することができないのである。しかも信じがたいことに、米韓FTAの場合には、このISD条項は韓国にだけ適用されるのである。
 このISD条項は、米国とカナダとメキシコの自由貿易協定であるNAFTA(北米自由貿易協定)において導入された。その結果、国家主権が犯される事態がつぎつぎと引き起こされている。
 たとえばカナダでは、ある神経性物質の燃料への使用を禁止していた。同様の規制は、ヨーロッパや米国のほとんどの州にある。ところが、米国のある燃料企業が、この規制で不利益を被ったとして、ISD条項に基づいてカナダ政府を訴えた。そして審査の結果、カナダ政府は敗訴し、巨額の賠償金を支払った上、この規制を撤廃せざるを得なくなった。
 また、ある米国の廃棄物処理業者が、カナダで処理をした廃棄物(PCB)を米国国内に輸送してリサイクルする計画を立てたところ、カナダ政府は環境上の理由から米国への廃棄物の輸出を一定期間禁止した。これに対し、米国の廃棄物処理業者はISD条項に従ってカナダ政府を提訴し、カナダ政府は823万ドルの賠償を支払わなければならなくなった。
 メキシコでは、地方自治体がある米国企業による有害物質の埋め立て計画の危険性を考慮して、その許可を取り消した。すると、この米国企業はメキシコ政府を訴え、1670万ドルの賠償金を獲得することに成功したのである。
 要するに、ISD条項とは、各国が自国民の安全、健康、福祉、環境を、自分たちの国の基準で決められなくする「治外法権」規定なのである。気の毒に、韓国はこの条項を受け入れさせられたのだ。
 このISD条項に基づく紛争の件数は、1990年代以降激増し、その累積件数は200を越えている。このため、ヨーク大学のスティーブン・ギルやロンドン大学のガス・ヴァン・ハーテンなど多くの識者が、このISD条項は、グローバル企業が各国の主権そして民主主義を侵害することを認めるものだ、と問題視している。
■ISD条項は毒まんじゅうと知らず進んで入れようとする日本政府の愚
 米国はTPP交渉に参加した際に、新たに投資の作業部会を設けさせた。米国の狙いは、このISD条項をねじ込み、自国企業がその投資と訴訟のテクニックを駆使して儲けることなのだ。日本はISD条項を断固として拒否しなければならない。
 ところが信じがたいことに、政府は「我が国が確保したい主なルール」の中にこのISD条項を入れているのである(民主党経済連携プロジェクトチームの資料)。
 その理由は、日本企業がTPP参加国に進出した場合に、進出先の国の政策によって不利益を被った際の問題解決として使えるからだという。しかし、グローバル企業の利益のために、他国の主権(民主国家なら国民主権)を侵害するなどということは、許されるべきではない。
 それ以上に、愚かしいのは、日本政府の方がグローバル企業、特にアメリカ企業に訴えられて、国民主権を侵害されるリスクを軽視していることだ。
 政府やTPP推進論者は、「交渉に参加して、ルールを有利にすればよい」「不利になる事項については、譲らなければよい」などと言い募り、「まずは交渉のテーブルに着くべきだ」などと言ってきた。しかし、TPPの交渉で日本が得られるものなど、たかが知れているのに対し、守らなければならないものは数多くある。そのような防戦一方の交渉がどんな結末になるかは、TPP推進論者が羨望する米韓FTAの結果をみれば明らかだ。
 それどころか、政府は、日本の国益を著しく損なうISD条項の導入をむしろ望んでいるのである。こうなると、もはや、情報を入手するとか交渉を有利にするといったレベルの問題ではない。日本政府は、自国の国益とは何かを判断する能力すら欠いているのだ
(後略)

つまりラチェット規定やISD条項により日本の主権は事実上なくなるに等しいのだ。アメリカの会社が日本の農産物に関する安全基準を「非関税障壁」と訴えればそれを撤廃せざるを得なくなる。同じくエコカーなどアメリカの苦手な分野に関してもアメリカの企業は同様な行動を取れる。そしてその他の通信、金融、その他の「アメリカが得意」な分野に関し日本の法律は全て非関税障壁とされ、最終的には撤廃せざるを得なくなる。上記の韓国、メキシコ、カナダの例がそれを証明している。

つまりはっきりいって
明らかにこれはアメリカに有利な不平等条約である。

不思議なのは推進論者はこのラチェット規定やISD条項には一切触れたがらない。討論でもこの話が出ると決まって話をそらす。だがこのラチェット規定やISD条項ほぼ確実に日本社会をボロボロにする既定である。

このような外国の主権を侵害することを正当化する法律ー国際法的にも明らかに問題があるーラチェット規定やISD条項に関してマスコミやTPP推進論者が全く触れようとしていないのはおかしい。裏で金が動いているのでは、と勘ぐりたくもなる。特にマスコミはこのTPPに関しては単なるプロパガンダ機関に成り下がっている。「TPPに参加しないと日本は孤立する、取り残される」という言質を繰り返すのみだ。

だが実際TPPに参加したら日本社会は間違いなくズタズタにされる。日本の「食」である農産物だけではない、郵便貯金、健康保険、医療、環境基準、日本のいい面は全て「非関税障壁」と称され撤廃、制度崩壊を余儀なくされる。

それがラチェット規定やISD条項の恐ろしさである。これがある以上TPPに参加するのは自殺行為といっても過言ではない。

そしてこれを強力に推進しているアメリカ、実はこの国は非常におかしな国になっている。
続きは明日。