KyojiOhnoのブログ

作曲家、編曲家、ピアニストそして製作会社の経営者ですが、ここでは音楽以外の社会一般のことの雑感について書きます。

ウエブはバカと暇人のもの


ウェブはバカと暇人のもの (光文社新書)

前々から読みたかったのでようやく読むことができた。

非常に痛快にネットの現状を書いてあるし、ネットを日常的に使っていれば思い当たることばかりである。しかし本のレビュー等を見ても「バカと暇人」の部分だけ何となく一人歩きしているきらいがあるが、要はインターネットに関していまだ根強く残っている幻想、誤解、勘違いに関して現場にいる人間からわかりやすく異を唱えた本である。また元博報堂の人間らしくネットのプロモーションやマーケテイングに焦点をあてた部分は私自身もおおいに参考になり、特にブランデイングの件に関しては考えさせられた。これに関しては私の別のブログ「Kyojiの音楽ひとりごと http://kyojiohno.cocolog-nifty.com/kyoji/ 」でいずれ改めて書くことにする。

私はいわゆるITジャーナリストとかITコンサルタントとか呼ばれる人間には極めて批判的な見解を持っている人間だが、それはシリコンバレーやグローバルスタンダードがどうだから日本もこうなるべきだ、といった類の「IT夢物語」にうんざりしている部分もある。だか、何よりもこの著者は「IT夢物語」はネットユーザーが全て賢ければ成り立つ理想論であり、ネットの実情とはまったくそぐわない議論ばかりであるという。確かに彼らの視点を見るとITのいい面しか見ておらず、中川氏が日常的に接しているネットのドロドロした部分とは全く無縁の世界に生きている印象があり、いわば「世間知らずの箱入り娘」的な部分があるのは否めない。

特に大企業のネットプロモーションに関する勘違いの記述は、マスメデイアにこれでもかと流れる「IT夢物語」がビジネスの現場で悪影響を与えているといっていいかもしれない。
著者が最後に「もう、ネットに過度な幻想を持つのはやめよう。」企業は《ネットで商品が語られまくり自社ファンが自然に増える》と考えるのはやめよう」という部分は激しく同意する。

尚、この本の最初で本のタイトルにもなっている「ウエブはバカと暇人のもの」というのは本当にその通りだと思うし、第一章を読んでいるうちにこのままでは「バカと暇人」にネットが支配され情報社会そのものが崩壊してしまうのでは、という危機感も覚えた。この本ではその「バカと暇人」が暴れている時の対処の仕方について少し触れられてはいるが、私自身の経験からいうと結局

バカは相手をする方がバカを見る

このひとことに尽きる。要はバカが発言したらスルーするに限るのだ。たいていの場合「荒らそう」とした人間はこれで立ち去る。

但したまにスルーしてもしつこくからんでくる人間もいる。そういう人間には理詰めで相手に対して突っ込む。決して感情的になったり怒ったりしてはいけない。そうなると相手の思う壺である。冷静に理詰めで突っ込みを入れると、元々論理的思考などしたことのない連中ばかりだから話についていけなくなるのだ。「バカと暇人」は元々思考停止の連中だから理詰めに対しては極端に弱い。

尚、この本で強いてやや違和感がある部分があるとすればやはりマスメデイアに対する見解かもしれない。確かに今でも地上波のテレビがダントツの影響力があり、これからもその地位は変わらないだろうという部分はそのとおりだとは思うが、しかし相対的には落ちていっているのは事実だろうと思う。著者が「バカと暇人」は結局テレビネタが多い点を指摘しているが、実は地上波テレビを情報源の中心におく主要ユーザー層は、子供、お年寄り、主婦、そして頭のあまり良くない人たちである。ネットやブログに書きまくる。「バカと暇人」がこの層とかぶっても別に不思議はないのだ。日常的に業務に忙殺されている人間はのんびり地上波テレビなどを見ている余裕などない。それに私は現役の大学生と接したことがあるが彼らを見てもテレビを見ている人間は本当に少ない。

つまりテレビ離れは着実に起きている。ただネットのヘビーユーザーで。「バカと暇人」は結局地上波中心に動いているためそう見えるだけである。私自身は最近のお笑いが出てくるバラエテイなどは見ていると脳みそが溶けそうなくらいくだらなく見ているのが苦痛なくらいだ。はっきりいって愚民製造機といってもいい。こんなものに自分の時間を費やすには時間の無駄だし、あえていうが思考停止の人間を増やす社会にとっても有害なものといっていい。

IT系の特に現場で仕事をしている人からもよい反応があるようだし、インターネットのユーザーの本当の実情、実態を知る面ではよい本である。マスメデイアもいい加減「IT夢物語」をもてはやすのはやめた方がいいと私も思う。

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