KyojiOhnoのブログ

作曲家、編曲家、ピアニストそして製作会社の経営者ですが、ここでは音楽以外の社会一般のことの雑感について書きます。

日野法人会新年賀詞交換会ー古賀稔彦さんの講演

さて、どこも新年会たけなわだと思いますが私の地元の日野法人会の新年賀詞交換会の講演ー今年はバルセロナ五輪の柔道の金メダリストの古賀稔彦さんの講演でした。云わずと知れた「平成の三四郎」と呼ばれた柔道の名選手です。

講演に先立って古賀さんの選手時代のエピソード(おそらくはNHKスペシャルか何かからの抜粋でしょうね。松平アナウンサーのナレーションでしたから..)が上映され、古賀さんがバルセロナオリンピックに左足に重傷を負いながらも痛み止めの注射を打って金メダルを取った時の模様、そしてその後後進の指導をしている時の古賀さんの様子が描かれていました。おそらくは講演の前の予備知識のためだったでしょうが、バルセロナオリンピックでの左足は普通なら到底出場できないほどのケガだったようです。その逆境からの栄光をどうやってつかんだかは興味ありました。

これほどの厳しい修羅場を経験された古賀さんですが、講演中の古賀さんはとても話術が上手で会場の人が皆リラックスして聞ける内容でした。しかしその内容は現在不況や社会的に病んでいる現代に日本人にとってとても意義深い話だったと思います。

まずスポーツの世界で「天才」と呼ばれる人たちについて話が及び、メジャーリーグイチロー選手や女子柔道の「柔ちゃん」こと谷亮子選手が引き合いに出され、共通するのは彼らの中にあるチャレンジ(挑戦)する強い意志とその意志を支えてくれているその人たちの周囲に対する感謝の気持ちを表している点を指摘されました。

その中で古賀さんは会場の人たちをステージに呼んで、あるデモンストレーションを行ないました。(おそらくは法人会でも一番若い(?)メンバー)


画面の中にいる2人は途中で片方の人が方法の人をおぶります。まるで古賀さん得意の背負い投げのように

その中で1人が自分だけで全てやろうとするとその人の力を100とするとせいぜい100しか出せない、しかし人を背負うと人間は100以上の力を出すことができる。 という例えのデモンストレーションだったようです。とてもわかりやすいですね。

ここに背負い投げを得意とする「平成の三四郎」の哲学を感じました。そしてこの哲学は古賀さんの個人的体験に裏打ちされたもののようです。

これは古賀さんがソウルオリンピックの時に優勝候補と期待されながら三回戦で敗退という挫折を味わった時のこと。その時にたまたまテレビで移った古賀さんの両親が古賀さんが負けた時に、応援団に向って頭を下げている様子を見て「自分だけが闘っているんじゃない」ということに気づいたという体験がきっかけのようです。それ以来自分の周囲の人たちの協力や思いを自分で「背負う」ことにより自分がより強くなりそれが、あの逆境にも関わらずバルセロナオリンピックの金メダルを取ることにつながったというお話。

何かとてもよい話ですね。人間、成功を手に入れると自分だけがえらくなったように錯覚しがちですが、古賀さんはこの経験があったため引退後も自分の生き方を見つけることができたようです。現在は川崎市の自宅に「古賀塾」という町道場を開き、子供たちに柔道を教える毎日だそうです。その中でも人への感謝と社会への奉仕の気持ちを忘れず、週に4回を柔道の稽古、あとの1回を地元の公園の掃除等の奉仕活動を地域の子供たちといっしょに行なっているようです。「古賀塾」に行っている子供たちは体だけでなく心の面でもいい師に恵まれているなという印象を持ちました。

最近の日本は自由=自分勝手という勘違いをする輩が増えている印象があり、モンスターペアレント等も社会問題になっています。「個性」「利己主義」の区別ができない人間が確かに多いように思いますね。しかしそういう人間はせいぜいがんばってもたいしたことはできない。やはり多くの人に支えられているという自覚、と感謝する気持ちを持った人間はとてつもない力を出すことができる。これは挫折ー修羅場を経験してから世界の頂点に立った人間だからこそ話せる体験だと思います。

また昨今の日本の企業を見てもチャレンジするという雰囲気は残念ながら非常に低くなっているといわざるを得ません(勿論チャレンジを続けている企業もありますが..)。特に「新規のもの」「前例のないもの」というものはほぼ間違いなくやりません。企業人なのか役人なのかわからない時があります。一昨年のリーマンショックに始まり、昨年のドバイショック、経済は二番底に入るという見通しもあり今年も残念ながら明るい材料はありません。今日の賀詞交換会でも昨年末は一昨年より悪いという実感を持ったのは私だけではありませんでした。

しかし今日の古賀さんの話はそうした厳しい環境でも乗り切るヒントみたいなものがあったように思います。個人的には今年は勝負の年になると思いますので今日の話をヒントに少なくとも私は果敢にチャレンジしていこうと思っています。

それにしてもここ数年、毎年のように日野法人会新年賀詞交換会に参加していますが、講演会の講師はとてもよい人が来ますね。かなり有意義な話を聞きながら年の初めを過ごさせていただいております。スタッフの方のご苦労に敬意を表させていただきます。