KyojiOhnoのブログ

作曲家、編曲家、ピアニストそして製作会社の経営者ですが、ここでは音楽以外の社会一般のことの雑感について書きます。

休日に江戸東京博物館

連休ということもあって、兼ねてからみたいと思っていた「ボストン美術館浮世絵名品展」が東京両国の江戸東京博物館でやっていたので見に行きました。予想通りでしたが連休だからものすごい人でした。


ボストン美術館といえば世界でも最大級の浮世絵コレクションがある美術館で19世紀から20世紀のいわゆるジャポニズムブームのさなかに五万点を超えるコレクションが集まりました。

江戸時代というのは私は日本文化の黄金時代といってもいい時代と考えています。これほど庶民の力を背景に歌舞伎や浮世絵や琳派と呼ばれる日本画、文学でも近松から十辺舎一九等、独自の文化が発展した時代は日本史上他に例を見ないといっていいでしょう。中でも浮世絵は印象派からアールヌーヴォーに至るまで強烈な影響をヨーロッパ美術に与え、ジャパニズムブームのきっかけを作ったのはいうまでもありません。しかしながら明治以降、それらの文化は否定の対象となり軽視され、世界中に散らばってしまったのもご存じの通りです。

展覧会は肉筆から単色刷りの浮絵の草創期から幕末の北斎、広重、国芳まで歴史を辿って展示されていきましたが、驚いたのは保存状態のよい点、まるで昨日刷り上ったように綺麗な状態になっていました。ボストン美術館の学芸委員たちの浮世絵に対する愛情と尊敬の念を感じることができ、同時に今の日本人がこれらの文化に対して同様の畏敬と尊敬の念を抱いているのだろうかという悲しい疑問も感じられました。

特に最近急激に評価を上げつつある磯田湖龍斎(写真)などは当の日本人が忘れ去っていた作家で海外でその評価が急激に広まり、今や歌麿クラスと同じくらいの評価を得ています。残念ながら日本では殆ど知られていません。先日「美の巨人」(テレビ東京)でようやく取り上げられたくらいです。

展覧会は今月いっぱいまで江戸東京博物館で開かれます。
http://www.edo-tokyo-museum.or.jp/kikaku/page/2008/1007/200810.html

日本人は明治以降、自らの文化を自らで評価することを事実上放棄してしまいました。この展示が終わったら本来なら日本にあるべきこれらの作品はボストンに戻ってしまいます。でもあの保存状態を見るとその方があの作品にとって幸せなのではと思ってしまうのが何とも情けないです。これは現代の日本のアニメやマンガにも言えることかもしれませんが、海外で評価されて始めてその価値に気づくという日本の体質。いかに「文化」を大事にする風潮がなくなっているか、ということでしょう。

またこういうものを取り上げるだけで「権威主義者」とか「伝統主義者」「昔が良かった論者」などと決め付ける人間がいますが過去の文化遺産文化遺産として価値を評価し、然る上で新しいものを作るというのがクリエーターとしての1つの重要な生き方だと思いますが、そういうものを徹底的に否定する人間も少なくないように感じます。

特に私は音楽を生業にしていますので、日本人の音楽文化が世界で評価される時代なんて来るのかな、と思ってしまいます。

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