KyojiOhnoのブログ

作曲家、編曲家、ピアニストそして製作会社の経営者ですが、ここでは音楽以外の社会一般のことの雑感について書きます。

マスコミはどうして「おたく」を目の敵にするのか

■猟奇殺人の漫画が犯行に影響か…埼玉・川口の父親刺殺事件
(読売新聞 - 07月23日 03:09)
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20080722-OYT1T00857.htm

例によって何か事件が起こり、それにゲームや漫画、アニメがからむとマスコミお得意の「おたくバッシング」だ。これをやれば視聴率や発行部数が上がると思っているらしい。

何度もいうがゲームやアニメは事件のきっかけになることはあってもそれがこの事件の本質的な問題ではない。それを全部ゲームやアニメのせいにするのはあまりに短絡的であり、報道としても安易といわざるを得ない。

マスコミが「おたくバッシング」するのは今に始まったことではないが、彼らがここまで「おたくバッシング」するのは「おたく」というのは「悪者のスケープゴートにしやすい」からである。何か事件が起きると必ず「悪者」を探し、その悪者を徹底的にバッシングする。そうすれば視聴率も新聞や雑誌の発行部数も上がる、いい加減こんな見え透いたやりかたはやめたらどうかね?

「おたく」というのはどうせテレビや新聞を見ないから「バッシング」しようが何しようが視聴率や発行部数に影響しない、だから徹底的にバッシングして「悪者」にし社会から軽蔑される存在にした方が記事的に面白い、というのがメデイアの連中の本音であろう、これはワイドショーだろうが通常の報道だろうが、基本的に変わらない。マスコミが「マスゴミ」といわれるゆえんである

勿論最近の若者の傾向として次の2つが挙げられる。

1.他人とのコミュニケーション能力の不足

確かにこの傾向は顕著に見えるが、これは必ずしも若者に限ったことではない。もともと日本人は世界的に見てもコミュニケーションの上手な国民ではない。それは60−70以上の日本の男性にも同じことがいえる。(ひとこといえば済むのにいわない傾向がある。「いわない」ことが美徳という教育を受けているから)確かにパソコンばかりやっていると他人とのコミュニケーション能力が低くなる傾向があるといわれるが、パソコンやっているからコミュニケーションができないとは限らない。

2.「これをやったら」どういうことが起きるかという想像力

  確かに最近の若者を見ると非常にこういった能力が極端なほど欠如しているのを感じる。しかしこれは「おたく」だから想像力が欠如するのだろうか? 違う、「おたく」であろうがなかろうが最近の若者全体に極端なくらいに想像力が欠けているように思う。

  なぜ想像力が欠けているかというと、最近の若者を見て実体験が少ないという点を感じる。ネットだけでなく携帯を通しての情報処理能力は発達しているが、その分だけ実体験が不足がちになる傾向がある。つまり「想像力の欠如」は「おたく」だからではなく、日常的な情報のやりとりの習慣が原因である。携帯やパソコンの映像を見てそれで自分は「体験した」と勘違いする人間がおおいためで、寧ろ現代の情報化社会全体の弊害といってよい。それを全てアニメやゲーム、「おたく文化」のせいにするのはあまりに短絡的で、事実をねじ曲げた報道である。

だいたいこういうのがからむと訳のわからない大学の先生と称する人がいて「ゲームやアニメのせいで」こういう事件が起きるといった言質をテレビで述べる。(おそらく殆どの「先生」はゲーム機すらさわったことがないであろう) 例の「あるある」の捏造と同じで「始めに結論ありき」最初からそういった「先生」におたく文化をやりこめるような発言をさせるというのが取材の実態であろう。視聴率のためならどんな短絡的な情報を流してもかまわない、というのは最近のマスコミの実態だ。

「おたく」というのはOTAKUといって今や英語だけでなくフランス語にもなっている。日本独自の文化といて海外では評価されているが日本のメデイアの偏見に満ちた軽蔑した報道ぶりは結局「日本独自の文化」を結果的につぶす方向にもいきかねない。

いつまでもこういう報道して視聴率や発行部数が上がると思ったら大間違いだ。

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